くらし 人の森

●息子をモデルに絵本を制作
石戸谷 一花(いしとや・いちか)さん
西の里北在住。
絵本作りのほか、読み聞かせとヨガで、自分を大切にすることを伝える活動を行っている。読み聞かせで寄付を募り、入院中の子どもに付き添う家族の滞在施設へ募金するイベントも企画中。

◆石戸谷 一花さん
◇息子との初めての会話
昨年10月に絵本「言葉の贈り物~こころがやさしくなる絵本~」を出版した石戸谷さん。モデルは長男で6歳の照斗君だ。照斗君は4年前に難病の4Pマイナス症候群と診断された。5万人に1人といわれる病気で、照斗君は言葉を話すことができない。
絵本作りに取り組んだきっかけは「3年ほど前のことです。夫が泣きながら起きてきて、夢の中で照斗と会話できたと話してくれました。夢の中ですが、私たちにとって初めての息子との会話です。これを形として残したいと思いました」と語る。

◇優しい気持ちになれる絵本を
ストーリーは1年かけて考え、絵はイラストが得意な友人に頼んだ。
最初は健常児を育てている友人に向けて作ろうとしたそう。「ストーリーは言葉の大切さをメインにして膨らませました。子育て中は、ついイライラして怒ってしまうことがあると思います。昼間怒ってしまっても夜に読んで、明日へ切り替えられるようなものをと思いながら考えました」。
絵本作りで心掛けたのは、読んだ後にどうやったら優しい気持ちになれるかだ。ストーリーや言葉遣い、絵にこだわった。
特に読んでほしい人は子育て中の大人だ。「親の言葉が子どもを作りますから。絵本を通じて少しでも優しい気持ちになってもらえれば」とほほ笑む。出版した絵本は市内の全小学校に寄贈した。

◇小学校での読み聞かせ
絵本作りをきっかけに活動の幅が広がり、西の里小学校や子ども食堂で自身の絵本の読み聞かせを行っている。小学校では言葉や自分を大切にすることの重要さも話した。「子どもたちは最初は難しいと感じている様子でしたが、真剣に聞いてくれました。話していくうちに、納得の表情に変わっていきました」と子どもたちの心に届いた手応えを感じたそう。
2年前には長女が生まれ、家族が増えた。今度は妹目線でのストーリーを考えている。続編も楽しみだ。