- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道福島町
- 広報紙名 : 広報ふくしま 令和7年4月号 No.821
III 主な施策の推進
次に、令和7年度におけるまちづくりについて、「第6次福島町総合計画」の「5つのまちづくりの目標」の実現に向け、次の重点施策に沿って申し上げます。
1 産業を活性化し、地域資源を活かすまちづくり
エネルギー・食料品価格の物価高騰に加え、依然として水産物の国内需要の低迷や、長引くイカの不漁による原料不足が続いており、町の基幹産業を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。
漁業にあってはこのような中、当町の浜の主力である昆布養殖漁業が、道内の天然昆布の不漁の影響を受け、水揚金額が8億3千万円に達し、対前年比で約37%の増となっております。
また、令和6年度から稼働した水産種苗生産等施設が採卵から種苗出荷まで順調に終えており、養殖昆布やウニの持続可能な前浜資源の確保を引き続き支援してまいります。
なお、コンブ養殖漁業において陸揚げ後の作業に人手不足が生じており、令和5年度に策定した昆布養殖作業省力化検討計画に基づき、漁業者が主体的な省力化の取り組みを進めるよう支援するとともに、昆布等共同利用施設の整備に向けて、漁業協同組合や関係機関と連携を図り進めてまいります。
今、全国から福島町で学びたいと福島商業高校に入学した生徒たちが昆布養殖作業に従事し、人手不足の解消に寄与するなど、町の活力に繋がっております。
漁業生産基盤である漁港の整備については、第3種福島漁港の荷揚げ岸壁拡幅工事が令和7年度に竣工予定となっております。
また、第2種吉岡漁港の低天端岸壁整備などの改良工事については、令和8年度の供用開始に向けて工事が進められており、漁港の生産機能の向上に努めてまいります。
蝦夷アワビの陸上養殖については、種苗購入先である北海道栽培漁業振興公社で令和5年度に発生した筋萎縮症の影響により、令和7年度においても昨年度に続き試験生産で種苗生産を行うとの報告を受けております。
また、岩手県内の種苗生産企業からは、令和6年度に引き続き5万個の種苗を購入できる見込みとなっており、安定的な出荷体制の再構築に向けた取り組みを推進してまいります。
なお、販売については、アワビカレーや町内飲食店および町内直売会を実施するとともに、活アワビとして関東圏への出荷体制の確立に努めてまいります。
農業については、営農者の減少・高齢化が著しく、後継者不足も相まって、当町の農業の維持・持続が大変厳しい状況にあります。町では、令和6年度に水稲農家が共同利用できる農業用機械整備の支援および農業用共同利用施設の購入による作業の効率化を図るなどしており、引き続き安定的な生産体制の維持・確保に努めてまいります。
林業については、森林の持つ公益的・多面的機能を将来にわたり持続的に享受できるよう、「福島町森林整備計画」に基づき地域資源の有効活用を目指すとともに、地域循環を推進する施業を進めてまいります。
また、虫が持ち込む病原菌によってミズナラなどの木が枯れる「ナラ枯れ」については、令和5年度に町内民有林で5本が確認されましたが、すでに伐倒・燻蒸処理を終えております。
しかしながら、令和6年度に新たに町有林および民有林などにおいて30本が確認されたことから、森林被害の拡大を食い止めるため、道が策定を進めている「北海道ナラ枯れ被害対策基本方針」などに基づき、被害木の伐採などの対応に努めてまいります。
有害鳥獣対策については、近年、農林業被害およびクマによる人身事故などが発生しており、町においても関係団体と連携を図りながら有害駆除の体制強化を進めているところであります。
令和6年度から運用開始となった「有害鳥獣減容化処理施設」については、町内はもとより渡島西部3町のハンターの負担軽減および巡視活動時間の確保が図られるなど、クマ・シカなどの円滑な有害鳥獣の駆除につながっております。
なお、令和7年度から管理運営方法を一般社団法人福島町まちづくり工房から直営方式に変更し、適正な管理運営を進めてまいります。
また、令和6年5月から有害駆除を担うハンターを会計年度任用職員として採用し、エゾシカ捕獲活動を担っていただくことで迅速な有害駆除対策の充実に繋がっており、引き続き農林業被害の抑制に努めてまいります。
当町の地域資源を活用した「青の洞窟」をめぐる「岩部クルーズ」は、本格運航開始後6年が経過し、近年では、年間平均2千人を超える乗船者数となっております。当町初の体験型観光として定着しており、乗船客から高い評価をいただいております。引き続き、地域資源の魅力の発信と交流人口の拡大を図ってまいります。
なお、知床遊覧船事故後に国土交通省において、安全管理に関する法改正が進められており、今後、さらなる法改正が見込まれておりますので、当クルーズの運航にあたっては法令順守を徹底し、乗客の安全を第一優先に安全・安心な運航に努めてまいります。
また、町内の潜在的観光資源の有効活用を図る目的で策定した岩部地区等活性化基本構想の実現に向け、庁内に設置した岩部地区等活性化推進ワーキンググループにおいて、関係団体と連携を図りながら岩部地区の魅力をさらに高める方策の協議を行い、今年度から優先順位を定めながら事業の推進を図ってまいります。
道の駅の管理については、令和6年度から一般社団法人福島町まちづくり工房に管理委託先を変更し、道の駅を一部リニューアルし、現状の中での魅力向上に努めるなど、その効果が徐々に表れ、売上や来場者数の増加に繋がってきており、観光情報発信および特産品販売などの充実が図られております。
なお、道の駅の管理については、さらなるステップアップを目指し、令和7年度中において指定管理者制度への移行を進めてまいります。
町内の商工業は、燃料・原材料をはじめとする物価高騰の影響などにより、町内事業者を取り巻く環境は大変厳しい状況が続いております。
このようなことから、町内経済の循環を目的としたプレミアム商品券の発行については、多くの町内消費者が購入できるよう発行数を増やし、町内事業者の経営安定を図るとともに、地域振興事業に対し、商工会と連携しながら支援してまいります。
新たな観光コンテンツとして、JALとの包括連携協定に基づき進めているアニメツーリズム事業については、北海道女だけの相撲大会をテーマにしたオリジナルアニメーションを制作・公開し、新たなアニメの聖地とした観光事業を展開してまいります。
新たな観光客増を図るため、若い世代をターゲットに交流人口の促進と町内商工業者の活性化を推進してまいります。
(つづく)