- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道倶知安町
- 広報紙名 : 広報くっちゃん 令和7(2025)年9月号
■ハンノキハムシ―ギンギラ虫?ブルーアイズ?倶知安方言名を持つ虫―509回
ハムシは漢字で葉虫と記し、成虫も幼虫も主に植物の葉を食べることに由来します。植物は一般的に敵に食べられないよう、葉に毒性物質や嫌な味や臭いを持たせたり、葉を硬くしたり、毛を生やすなど、食害を受けた際に特定の防御物質を作り出して相手を撃退するといった対抗手段を持っています。しかし、そんな植物の抵抗に対し、解毒能力を高めたり、大きく強い顎を獲得したり、柔らかい葉が出る時期に出現して上手に適応しているのが、特定の植物を食べることに特化したスペシャリストであるハムシのグループなのです。
街なかの公園や草むらでよく見かけるハムシの中に、ハンノキハムシがいます。金属光沢のある青黒い体色を持つ体長7~8ミリメートルの昆虫で、名前のとおりハンノキをはじめ、ケヤマハンノキやシラカンバの葉を食べます。成虫で冬を越すことや、餌となる樹種が豊富に自生していることもあって、春先から秋の長い期間にかけて見られます。
このハンノキハムシ、町内の方と話していると「ギンギラ虫」や「ブルーアイズ」といった名前で呼ばれているのを耳にする機会が多くあります。いつ頃から呼ばれているのか、山麓地域ではどの程度の範囲で呼ばれているのかなど、興味が湧きます。一般的な和名も大事ですが、地域性や温かみのある方言名も趣がありますね。ほかの生き物でも「こんな方言名があるよ」というものがあれば、ぜひ教えてください。
文:小田桐亮(倶知安風土館学芸員)