- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道月形町
- 広報紙名 : 広報花の里つきがた 令和7年4月号(693号)
■はじめに
令和7年第1回町議会定例会の開会にあたり、本年度の教育行政の執行に関する主要な方針と施策を申し上げます。
教育は、人を幸せにする営みです。
今、世界は、戦争や国内の紛争、政変が相次ぎ、我が国を取り巻く情勢も決して安閑としていられる状況にはありません。エネルギーをはじめとする物価の急激な高騰なども含めて、私たちはまさしく予測困難な時代の真っ只中に生きているといえます。
子どもたちの将来を見据えると、AIの急速な発達などから、産業構造の大規模な転換や就業形態の大きな変化が訪れることが予想されます。
どんな未来が待っていようと、変化の渦に巻き込まれ、木の葉のように翻弄されるのではなく、自分の夢や希望を持ち続け、困難に立ち向かい、自分の幸せを見つけ、周囲の人々と協働しつつ、それを育んでいく主体としての資質・能力を育むことが、教育が果たすべき使命であるといえます。
本町の大きな教育課題である義務教育学校の設置を見据え、義務教育9年間を見通した小中一貫教育により、これからの時代にふさわしい質の高い教育の提供と子どもたちがワクワクして学び、未来への希望を持てるような教育環境の整備を図ってまいります。
また、活力ある地域社会を築くために不可欠な町民の皆さんの芸術や文化、スポーツ・レクリエーション活動をその持続可能性を探りつつ、集約的に展開してまいります。
こうした認識の下、令和7年度も「未来を創造する月形の教育」の実現に向け、学校教育においては、子ども一人ひとりがより主体的・能動的に課題に取り組む授業への転換によって確かな学力の向上を図るとともに、社会教育では、誰もが生涯にわたって、健康で豊かな社会生活を送るための環境や体力づくりを支援し、教育行政を推進してまいります。
以下、令和7年度の主要な施策について申し上げます。
■学校教育の充実
はじめに学校教育の充実についてです。
義務教育学校の開校に向けて、教育委員会をはじめ義務教育学校開校準備委員会を中心に十分な協議を進めるとともに、小・中学校が一層連携し、課題に対して具体的な形で解決を図りながら学校教育の充実を図ってまいります。
1点目は「予測困難な時代に対応できる能力の育成」についてです。
学習指導要領が掲げる「子どもたちが未来社会を切り拓くための資質・能力」の育成のためには、これまでの教授型の授業スタイルから脱却し、子どもたちにとって、より能動的な授業スタイルへの転換が必要です。
特に授業の終末段階で、学力が低位の子どもでも自分の考えを述べ話し合いに参加することが出来るような課題を提示するなど、主体的・対話的で深い学びを保障する授業づくりを進めてまいります。
さらに、基本的な話術や授業のテンポなど、子どもたちが生き生きと楽しく授業に臨めるように、教師個々の基礎的スキルの見直しと向上を目途に校内研修などの充実を図ってまいります。
また、子どもたちが安心して自分の考えを述べ、互いに高め合うことができるように、学習ルールの徹底と「傾聴・受容・共感」の学級風土を醸成する、親和的・受容的な学級づくりを進めてまいります。義務教育学校開校をにらみ、認定こども園を含めた統一カリキュラム作成に向け、具体的作業に着手します。
本町においては、GIGAスクール構想による、一人一台タブレットの効果的活用と授業づくりが成果を挙げてきていますが、令和7年度は、タブレット端末を更新し、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的なさらなる充実を図ってまいります。
さらに、新たに中学校に学習コンテンツを導入し、学び方の習得と家庭学習の習慣化を図ってまいります。
2点目は、「豊かな心と健やかな身体の育成」についてです。
特別の教科「道徳」の授業を強化し、生命を大切にし、豊かな人間性・社会性を育てる「心の教育」の充実を図ってまいります。
また、ふるさと教育、キャリア教育、各種体験活動、読書活動、さらに国旗・国歌の適切な指導を通し、郷土を愛し、国を愛し、国際社会で活躍できる心豊かな自立した主体の育成につとめてまいります。
「いじめの見逃しゼロ」を目指し、教員の感性と学校の組織力を高め、早期の認知と対応にあたり、日常の授業や教育活動における積極的な生徒指導の充実を図るとともに、「仲間づくり子ども会議」の継続と「どさんこ子ども会議」への参加を促すなど、児童・生徒が主体性を持って「いじめが起きない」環境づくりに取り組めるよう努めてまいります。
また、月形刑務所や警察署などの外部講師による薬物乱用防止や情報モラル、デートDV防止などの教室を実施してまいります。
全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果では、各種目で全国・全道平均より劣っていることが分かりました。小学校では全学年での持久縄跳びを継続し、中学校ではダンスなど、運動やスポーツの楽しさや大切さを実感できる保健体育授業の指導と工夫に努め、基礎体力の向上に向けた授業改善を図ります。
学校給食は、安全・安心な給食の提供はもとより、食の大切さを学び、望ましい食習慣が身に付くよう食育を進めます。
給食費は令和5年度から無償化されましたが、食材費や燃料費の高騰などにより町の費用負担が増加しています。加えて、給食調理施設の老朽化といった大きな課題も抱えています。令和6年度は民間配食サービスの試食会を実施し、アンケートでは約7割の方が好意的な評価となりました。これらのことも踏まえつつ、持続可能な学校給食の在り方について、その具体的方策を多面的に検討してまいります。