くらし 月形花図鑑(4)

こんにちは。月形町地域おこし協力隊の石原絢子です。こちらのコーナーでは、月形町で生産されているお花を詳しくご紹介していこうと思います。今回のお花は「スターチス」。月形町での出荷量も多いお花です。お仏花のイメージがある「スターチス」ですが最近はニュアンスカラーの品種も増えて、用途の幅も広がっています。
和名が「花浜匙(ハナハマサジ)」といい、浜辺によく咲くことと匙(さじ)に似た形状からついた名前だそうです。原産地は地中海沿岸からアナトリア半島で、日本にやってきたのが昭和初期です。「スターチス」の学名は「リモニウム(Limonium)シヌアートム(sinuatum)」と言います。この「リモニウム」は、ギリシャ語で「沼沢(沼地)」あるいは「牧草地」を意味するとされています。実際にリモニウム属の多くの種が、海岸近くの塩性土壌や湿地に自生していることに由来すると言われています。また、現在の「スターチス」の旧属名であった「Statice」は、ギリシャ語の「statizo(止める)」に由来し、かつて薬草として下痢止めに用いられたことにちなんでいるそうです。世界中に約600種が存在するとされており、月形町でもたくさんの品種が栽培されています。「スターチス」は非常に多様性に富んだ属であり、特に地中海地域から中央アジアにかけて多くの種が分布しています。その中でも観賞用として広く栽培されているのが「リモニウムシヌアートム」とその園芸品種が一般的ということです。
また、咲き方も様々で一般的なシヌアツム系と、「ハイブリッドスターチス」とも呼ばれ、細い茎の先に小さく繊細な花がたくさん咲くタイプのシネンシス系、キノアツム系といわれるふわっとしたカスミソウのような広がりとボリュームのあるタイプがあります。花びらのように見える部分は、実は萼(がく)が発達したもので、小さな花が咲き終わって乾燥しても色あせしにくく、美しい姿を長く保つことができます。ドライフラワーにして長く楽しむことができますね。この特性から、花言葉には「変わらぬ心」「永遠」「途絶えぬ記憶」といった、深い愛情や思い出を象徴する言葉が並びます。大切な人への変わらない気持ちを伝えたい時や遠く離れた友人へ花を贈る時は「スターチス」を添えてみてはいかがでしょうか。