- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道幌加内町
- 広報紙名 : 広報ほろかない 令和7年10月号
■あらたな品種ができるには
幌加内町のそば独自品種「ほろみのり」は昨年2月に育成者権が切れました。育成者権とはその品種を育成した人に与えられる「知的財産」です。育成した人の許諾なしに種苗を使ったり収穫したりすることはできません。ほろみのりは農業技術センターが平成16年に登録申請し、認可された品種で、「キタワセソバ」の大粒で伸育性が有限なものを選抜して育成された品種です。20年間その種子を独占する権利がありました。昨年それが切れて、導入した生産者はその種子を確保することもできますが他人に販売はできません。なかなか難しいですね。
この新品種を作るには…「ほろみのり」のように選抜育種と異品種・系統の掛け合わせする場合と2種類あります。キタワセソバも選抜育種です。この場合、元種をしっかりと確保していないといけませんね。かけ合わせの場合は「母○○(めしべ)×父▼▼(花粉)」で両親になる品種系統が確実に作られるなら結構大量に作れます。稲はまずこのかけ合わせがほとんどです。どちらにも長所があり、両方の長所を受け継いだものが特性として固定されれば新品種への申請をします。幌加内で作っているもち米「きたゆきもち」は「母…北海糯286号×上育糯425号」×「父…風の子もち」で良食味・耐冷性等の長所があります。このかけ合わせも一回だけでなく、何度も繰り返して「よし、固定された」となってやっと申請です。
ただこういう場合でなく、「突然変異」で生産されたものを品種として使うこともあります。2000年に岐阜県下呂市で発見された「コシヒカリの大粒系」で大きさはコシヒカリの1.5倍。「香り・甘味・粘り」等どれをとっても秀でた品種です。品種名は「いのちの壱」。ブランド名のほうが名が通っており、「龍の瞳」というブランド名がついてます。まだまだ下呂市自慢の品種です。
■その特徴をいかそう!
すでに出回ってる米の品種で「きたくりん」はデビュー以来10年ほどたちました。
「ふっくりんこ」と「F1:ふ系187号×空育162号」のかけ合わせで、「ななつぼし」並みの食味を持ち、何よりいもち病に強く、カメムシの被害にも逢いづらいという特性を持ちます。これは農薬を減らすことが可能で「くりん」はクリーンの意味です。
道の独自ブランド「YES! Clean」でよく使われてますが、有機栽培米や特別栽培米にも可能な品種です。でも店頭ではそういうことが表示されておらず、今一つ特徴を生かせないでいるのではないでしょうか?もったいないですね。
