- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道利尻富士町
- 広報紙名 : 広報りしり富士 令和7年6月号
■七つの宝を活用し、町民と一緒に町政推進
令和七年利尻富士町議会定例会三月会議の開催にあたり、町政執行に臨む私の所信と施策の基本的な方針を申し述べます。
昨年は、元旦に能登半島地震が発生し、その後も全国各地で大雨や豪雨災害などが相次いでおります。本町でもサロベツ断層帯や北海道北西沖の地震が想定されており、自然災害の発生を防ぐことは不可能ですが、被害を最小化することは可能であると考えておりますので、より一層の防災・減災対策にしっかりと取り組んでまいりますとともに、町民の安心安全確保は、行政の責任でありますので合わせて町政運営に当たってまいります。
さて、私が町民皆様から心温まる多くの力強いご支援のもと町長に就任してから三期十二年を迎えますが、就任当初から基本的な考え方を変えずに申し上げている五つの政策方針と、三期目の所信表明時に次世代に苦労をかけないため中長期的な財政計画を追加し、六つの政策方針の充実を図るため、今議会に関連する令和六年度各会計補正予算、令和七年度各会計予算を編成し、各条例の一部改正などを提案しておりますが、将来に亘って本町の力強い発展のため、豊かで誇れる地域資源である「山・森・水・花・海・湯・路」の七つの宝を活用しながら、町政の主役である町民皆様と一緒に町政を推進してまいりますので、議員各位、並びに町民皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
一.地域特性を生かした産業の振興
始めに、本町の基幹産業である水産業の状況についてですが、昨年の利尻漁協における町内の漁業生産額は十七億六千六百万円と、昨年より二億千二百万円の減額となりました。
減額の要因は、ウニ・ナマコ・天然コンブの不漁によるものですが、三魚種とも本町の水揚げ上位を占める大変重要な水産資源であり、特にウニ・昆布などの根付資源は沿岸域での海況等の変化に大きく影響を受けることから、引き続き漁場環境のモニタリングと種苗放流や藻場造成、資源管理といった「つくり育てる漁業」を推進することにより、利尻ブランドを守り、利尻富士町の豊かな海を次世代へ引き継いでいけるよう、国や北海道など関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
新年度における水産振興の取り組みでございますが、まずは担い手対策として新たに三名の漁業後継者に対し磯船を贈呈する予定となっております。
また、離島漁業再生支援交付金や特定有人国境離島漁村支援交付金事業の実施により、生産性や付加価値向上、起業・雇用拡大の取り組みを進めるとともに、輸送費支援にも取り組んでまいります。また、北海道の中でも先駆的な取り組みとなっているブルーカーボン事業についても継続し、リシリコンブという地域資源を最大限活用しながら、脱炭素化と経済の活性化、持続可能な地域づくりの実現に向け取り組んでまいります。
北海道が行う水産基盤整備事業では、富士岬沖及び鬼脇沖に魚礁設置と清川地先への囲い礁整備工事を継続し、海岸事業では流木等海岸漂着物の処理を継続し実施してまいります。
港湾関係では、国直轄事業として鴛泊港鬼脇港区の南防波堤とマイナス二.○m物揚場の改良工事を継続するほか、港湾管理者としても鴛泊港本港と鬼脇港区の維持補修工事を実施してまいります。
次に観光業についてですが、観光入込客数について昨年はコロナ以前への回復を期待しておりましたが、令和六年度上期の観光入込数は十万四千人、宿泊客延数は六万三千人と、昨年より一割程度増加したものの、結果的に令和元年と比較し八十五%程度の回復にとどまっております。
観光業全体を見ますと、個人旅行の増加に伴い、飲食店不足や二次交通面での課題が浮き彫りとなっているほか、体験型観光の高まりにより、昨年は登山者数が初めて一万人を突破する中で、浸食が進行する登山道の維持対策であったり、増加傾向にある外国人観光客対策など、来訪者の満足度向上や持続可能な観光地域づくりが求められておりますので、「きた・北海道DMO」や観光協会、商工会、各事業者等と連携し、課題解決に取り組んでまいります。
新年度における観光業の取り組みでございますが、体験・滞在型観光推進のため、スタンプラリー「利尻クエスト」や「サイクルオアシス」設置によるサイクルツーリズムの推進、本年度ワークショップを重ねてきたカルチャーセンター・りっぷ館のリニューアルに向けた取り組み、インバウンド等受け入れ環境整備のためのwi―fi(ワイファイ)環境整備、北海道遺産協議会と連携したパシフィックミュージックフェスティバル札幌による修了生コンサートの開催、産官学連携による道内大学のフィールドワーク活動の受け入れ、秋のFDA(フジドリームエララインズ)チャーター便の増便対策として、DMO連携地域による地域の食と映画を活用した魅力向上事業の実施など、本町の魅力発信と交流人口の増加、観光消費額拡大を目指し取り組んでまいります。
また、利尻富士温泉保養施設につきましては、機械設備等の大規模改修を計画しており、十月頃から二ヶ月程度の休業が必要となりますので、観光や町民利用に大きな支障が生じないよう取り組んでまいります。
環境省につきましては、新年度より利尻山登山道を直轄事業として九合目から山頂部までの危険個所を優先して整備を進める計画となっており、登山道を持続的に維持管理するよう取り組んでまいります。
鬼脇地区においては、二石海岸公園に駐車場を整備いたします。
商工業につきましては、昨今の物価高及び輸送費高騰の影響を考慮し、地域経済活性化のため地域振興商品券事業の継続、商工会の運営に対する補助金の増額のほか、中小企業融資条例に基づく運転資金及び設備資金の増額等による支援強化のため、条例の一部改正を本会議に上程しております。