くらし 令和7年度町政執行方針(2)

二.離島の自主的な発展と安定した生活基盤の整備
私たちが暮らす離島地域は、離島振興法によりインフラ整備や産業振興など各種の振興策が国により講じられ、住民の生活の安定及び福祉の向上が図られておりますが、本土より遠隔の地に位置する「特定有人国境離島地域」については、なお人口減少が著しいことから、離島振興法等の施策に追加する形で、平成二十八年四月に有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法が制定されております。この、通称有人国境離島法により、国境離島地域ならではの特性に応じた施策が推進され、航路・航空路の離島住民割引運賃による島民の運賃低廉化をはじめ、輸送コスト支援、滞在型観光の推進、雇用の拡充について支援されておりますが、十年間の法期限となる令和九年三月三十一日まで残り二年となり、実質この十二月までが法改正に向けた活動の正念場となることから、国や北海道をはじめとした関係機関との連携・調整を強化しながら、本法律の改正・延長・拡充に向け全力で取り組みを進めてまいります。
また、原油価格や食料物資の高騰など本土以上に離島住民にとっては重い負担となっていることから、宗谷地域総合開発期成会や北海道離島振興協議会を通じて、国や北海道、関係機関に対し支援方策について強く求めてまいります。
航空路線運賃につきましては、運賃の低廉化のほか日本航空(JAL)・全日空(ANA)とも、お客様のより良い利便性と負担軽減を図るため、従来より行っております離島住民割引制度等の助成についても継続してまいります。
通年運航のJAL便(利尻―丘珠間)は、三月三十日から十月二十五日までの夏期ダイヤにおいて、金曜日、土曜日、日曜日のほか、ゴールデンウィーク及びお盆期間等の祝日を合わせた九十九日間において午前便の増便が決定しており、この複便化により離島住民の生活交通路線及び道央圏から離島への観光路線として、更なる利便性向上を図ってまいります。
また、季節運航となっているANA便(利尻―新千歳間)は、今年度も六月から九月までの四ヵ月間運航されることとなっており、今後も離島住民の生活、医療、観光、経済の活性化に必要不可欠な生活路線でありますので、運航事業者に赴き、航空路線の維持・存続を図ってまいります。
FDAにおいてもチャーター便の運航が計画されておりますので、期待をしているところであります。
町道整備につきましては、鴛泊市街一号線(神社通り)の排水対策と栄町四号線の改良(見晴ヶ丘団地R六から見晴ヶ丘団地S六十三まで)、鴛泊市街中央線の歩道整備を行うほか、自治会から要望のあった本泊漁港線の側溝改修を実施いたします。また、令和五年度から着手しました街路灯LED化事業につきましては年次計画の最終年度を迎え、全ての街路灯がLED化される予定です。
除排雪では、冬期間における除雪体制を維持し、生活道路の安全・安心対策や通行確保に努めてまいります。
道道の整備につきましては、自転車道に架かる三橋の橋梁補修設計を実施いたします。また、実施時期は未定ですが、鰊泊地区の道路改良工事、昨年度完成した富士野地区の橋梁架け替え事業に伴い、仮設道路の撤去と護岸整備を予定しております。さらに、各地区で落石対策調査および雪況調査を実施する予定となっております。これらの整備により住民の皆様が安心して通行できるよう適切な維持管理に努めるとともに、狭隘地区の道路整備促進についても関係機関と協議を重ね要望を行ってまいります。
住宅施策では、今年度も見晴ヶ丘団地の建て替えと外構・駐車場の整備を継続して進めるとともに、富士野団地及び第二船見ヶ丘団地の個別改善工事について、次年度着手に向けて設計を進めてまいります。
また、公営住宅長寿命化計画の見直しを行い、計画的に快適な住宅環境の提供に努めてまいります。さらに、町職員住宅につきましては、老朽化した住宅を解体し必要な土地の確保を行ったうえで、新たに一棟四戸の職員住宅を建設し、職員の居住環境の改善を図ってまいります。
鴛泊市街地街なみ環境整備事業につきましては、昨年、鴛泊市街地まちづくり協議会及び鴛泊市街地整備促進期成会の皆様とともに計画スケジュールの見直しを行い、今年度は、昨年度から着手している旧消防跡地の駐車公園整備を完了するとともに、新たに避難誘導サインの設計とポケットパークの整備を実施いたします。
水道事業につきましては、安定供給を維持するため適切に施設を管理してまいります。特に鴛泊地区では、昨年の調査で判明した漏水箇所の補修工事を行い、地域住民の皆様が安心して利用できる水道インフラの維持・向上に努めてまいります。
下水道事業につきましても、令和六年度策定の次期ストックマネジメント計画を基に本年度も鴛泊終末処理場の長寿命化を図るため、電気計装設備の更新事業を実施し、施設の適正な維持管理及び安定した水処理を行うとともに、引き続き施設の適正な維持管理に努め、清潔で快適な環境づくりを進めてまいります。
役場をはじめ建設業界や商工業界など、あらゆる職種で労働力不足問題が顕在化しており、早急な対策が求められていることから、地域活性化起業人による民間力を活用し、求人情報の集約・紹介を担うワンストップ窓口の開設を目指し動き出すとともに、窓口の事務局や地域での働き手となり得る地域おこし協力隊の募集を開始いたします。
また、若手職員を中心としたSNSによる新たな島の魅力発信や令和五年度に制作した職場PR動画の継続発信、求人情報サイトを活用した職員募集情報の拡散など、職員不足対策に今まで以上に力を入れ取り組むとともに、時代の流れに取り残されることのないよう、全庁的な意識改革や体制整備により、持続可能な社会づくりに努めてまいります。
以上のとおり、離島地域で生活している私たちが、地理的特殊事情からくる様々な制約を改善し、自主的で持続可能な発展を推進するため、国や北海道との連携を一層強化しながら住民の生活基盤の改善を図ってまいります。