子育て 令和7年度教育行政執行方針(1)

■はじめに
令和七年利尻富士町議会定例会三月会議の開催にあたり、教育行政の執行に関する主要な方針を申し上げます。
変動性や不確実性、複雑性の高い時代の中でも、教育基本法に定められた教育の目的と理念をもとに、推進中の各種計画に基づき教育の一層の振興と充実を図るべく、令和七年度において次の四つの主要な施策を推進します。

一.学びの継続性を確保する小中一貫教育
「教育は国家百年の大計」と言われます。人材育成は国家の要であり、百年後の日本を支える人物を育てるために長期的視点で教育を行うことの大切さを説いた言葉です。昭和百年を迎えた令和七年、利尻学校が鬼脇に設置されて百四十年という年月の間に本町の教育と社会の発展の礎を改めて認識し、本質の変わらない学校と一人ひとりの「生きる力」を育てる学校づくりに努めてまいります。
令和五年度にスタートした「りしり富士小中一貫教育」は小中九年間におけるめざす子ども像を掲げ、一貫した指導体制や教育課程のもとその三年目を迎えます。
子どもが興味・関心や能力と特性に応じて自ら教材・方法・ペース等を選択できる環境を整えるなど、学習者が主体的に学ぶ中で自ら学習を調整しつつ資質・能力を身に付けることの重要性やその中で教員が発揮すべき指導性や位置づけを検討することが求められているとともに、児童・生徒の発達段階に応じた支援を行い、自己肯定感を育む心の成長を支えることが重要です。
地域の資源を活かしたふるさと利尻富士での学びや豊かな体験、文化芸術やスポーツでの感動体験などを通じて、多様な人とつながり感情を共有し、学びの継続性を確保し、学力と人間力のバランスを育てるため、学習内容の系統化や心の成長支援、地域との連携、教員の指導力の向上を重点的な施策として位置付け推進してまいります。
令和七年度、小中一貫教育における在籍予定児童生徒数は、鴛泊地区で八十九名(小学校五十六名、中学校三十三名)鬼脇地区では四十五名(小学校二十七名、中学校十八名)の計百三十四名となっています。令和六年度と比較すると一名の減少となりますが、鬼脇中学校では学級編成の基準によりこれまでの二・三年生の複式学級が単式学級へと解消され、教員定数も三名増えることから指導体制が強化されるとともに全学年複式学級の小学校へのティームティーチングや乗り入れ授業など教員が連携し、一貫した高い指導力を目指していきます。また、小学校と中学校との接続部分の学びの連続性をさらに深めるため校種間の関わり合いと小・中さらには保育所がそれぞれ蓄積している様々な情報を共有し、縦の連携を意識しながら目指す方向性を的確にすることを推し進めます。

二.個別最適な学びのための学習基盤の整備と活用
令和元年から始まった国の教育改革GIGAスクール構想から六年、本町が令和二年度から先行して導入した児童・生徒及び教職員用のタブレット端末を含む学校ICTの環境整備は学びのスタイルを変え、先進的な事例とともにその効果を発揮し続けています。
令和七年度において、北海道が主体となって行う一人一台タブレット端末の更新に係る共同調達はそのスケールメリットから、子どもたちの学びを止めない環境と一人ひとりの興味関心に応じた学びのICT教育として、本町でも国の補助要件による端末調達を実施し、すべての小中学校の児童・生徒用百五十七台の導入とともに、教員用端末七十台をあわせて端末更新のための必要経費を予算計上しております。
課題の解決に向けて話し合い、まとめ、表現する学習活動において、ICTを使う頻度が高いことが本町の学校ICTアンケートでも明らかになっています。ですが、「ICT機器を使うか使わないか」ではなく、「主体的・対話的で、深い学びの授業ができているかどうか」を検証するための授業改善が最も重要で、それに必要なのがICTであると思っています。
個別最適な学びの基盤整備とともに、この度策定した「第一次利尻富士町学校情報化推進計画(令和七~令和十)」において、目指す方向性とその取り組みについて学校全体で共有理解し、GIGAスクールのセカンドステージとして、子どもたちの探求的な学びと教職員の指導力の向上努めてまいります。
また、日々の授業で使用する中学校用教科書すべてが令和七年度から新たな採択のもと使用されることから、指導用教科書を更新し、授業での生徒の学びをデジタル教材とともに関連付けられるよう支援します。
学校での生成AIを適切に利活用する取り組みが進んでおり、本町でも道教委が展開する「生成AI活用チャレンジプロジェクト」に鴛泊中学校がチャレンジ校として選ばれ、授業実践の事例として昨年九月から効果的な教育実践のモデルとして成果を上げています。今後、生成AIがさらに社会生活に組み込まれていくことを念頭に置きながら、発達の段階や各学校段階、情報モラルを含む情報活用能力の育成を一層充実させていく必要があります。