- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道新得町
- 広報紙名 : 広報しんとく(令和7年8月号)
新得町長 浜田正利
最近「痛感」したことを3点、ご報告いたします。
1点目は、町民の方々との何気ない会話の中でのことです。ある町民の方に「町長、デジタルって何?」と尋ねられた時、私は思わず「うーん…」と、すぐには答えられませんでした。さらに「DXって?」「AIって?」と続けて聞かれ、またしても「うーん…」と答えるばかり。言葉の意味は知っていても、わかりやすく説明するのは本当に難しいと痛感しました。また「キャッシュレス」「マイナンバー」「口座振替」「書かない窓口」など、身の回りのデジタル化についても、自分の知識不足から、うまく伝えられず歯がゆさを感じました。そんな中で、私はこう聞いてみました。「携帯電話は使っていますか?便利ですか?」すると、「電話やLINE、写真、辞書代わりにも使っています。便利です」との答え。このやりとりから、技術の進化が暮らしにどう役立つかを、もっと身近な例で伝える努力が必要だと痛感しました。特に私自身にとっての課題です。
2点目は、川西農協で開催された「スマートAI農業の推進に向けた勉強会」に出席したときのことです。勉強会のテーマは、「人口減少の中でも十勝の農業を維持・発展させていくために、DX(デジタル技術)を活用していく」というもので、具体的には、無人トラクターによる農作業や、病害虫の監視や作物の管理を目的としたドローンの活用、気象や土地のデータ管理など、最先端の技術について5名の方が現状と展望を発表されました。驚いたのは、こうした取り組みに農林水産省だけでなく、総務省の情報担当者も関わっていたことや、実証実験から本格導入に向けて、農業者・研究機関・大学・メーカー・行政が一体となって進めているという強い意気込みを感じたことです。私も1点目と同様、まだまだ勉強不足だと感じる一方で、医療・介護・商業・行政など、あらゆる分野に共通する「人手不足」という課題にどう向き合っていくか、地域全体で考えていく必要があると痛感しました。
3点目は、最近複数の方から「町長、辞めるんだね。20年間お疲れさまでした」と声をかけていただいたことです。平成17年8月3日、斉藤前町長からバトンを受け取り、以来20年間、町政を担わせていただきました。この間、あらゆる場面で多くの町民の皆さんや関係者の皆さんに支えていただいたことが、今も心に残っています。仕事は、人とのつながりに尽きる—そのことを何度も痛感してきました。これからは新たなリーダーのもと、「チーム新得」として、まちづくりをさらに前に進めていかれることを願っています。これが私にとって最後の広報紙でのご挨拶となりますが、皆さまには心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。