- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道浜中町
- 広報紙名 : 広報はまなか 2025年4月号
教育長 佐藤 健二
令和7年第1回浜中町議会定例会の開会にあたり、教育行政を代表し、教育行政執行に対する所信と教育行政運営の基本的な考えを申し上げ、町民の皆さま並びに町議会議員の皆さまにご理解とご協力をいただきたいと存じます。
コロナ禍を終えて、2か年が経過し、世の中は日常を取り戻しています。しかし時代は、AIの急速な発展やグローバル化の進展、少子高齢化・人口減少の進行をはじめとして、社会の変化は加速度を増し、複雑で予測困難な時代へと突入しています。こうした時代において、浜中町民一人ひとりが豊かで幸せな人生と社会の持続的な発展を実現するために、教育の果たす役割はますます重要になると考えております。今後の本町の教育行政の進むべき方向性を示す「羅針盤」である第6期浜中町まちづくり総合計画においても「ふるさと浜中に誇りを持ち、生涯にわたり心豊かに学び続け、健やかな人生を実現する次代を担う人の育成」を掲げているところであります。
こうした方向性を踏まえながら、教育行政の舵取り役を担うとともに、(1)浜中町の新しい学校づくり、(2)ふるさと教育と外国語教育の充実、(3)ICTを活用した教育の充実、(4)教職員の服務規律の厳正保持、(5)霧多布高等学校の存続に向けた新たな教育課程編成、(6)大規模改修した総合文化センターの活用、(7)部活動の地域移行に向けた整備など、喫緊の課題と本町の未来に向けた必要となる施策に全力で取り組んでまいります。
以下、「浜中町教育大綱」の基本理念実現に向け、教育の基本方針の体系に沿って、本年度の施策の内容をご説明申し上げます。
◇豊かな学びを育み、未来に向かって挑戦し続ける人づくり
1 学校教育の充実
学校教育においては、個人一人ひとりの「人格の完成」と「平和で民主的な国家および社会の形成者として必要な資質」を備えた心身ともに健康な町民の育成を踏まえ、子どもたちの資質能力を育むことが求められています。
知(確かな学力)・徳(豊かな心)・体(健やかな体)のバランスのとれた力である「生きる力」は、子どもたち一人ひとりが学ぶことを通じて身についていきます。その学び方とは予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して自らの可能性を発揮することで定着します。その「生きる力」の現代的な意義を踏まえてより具体化し、教育課程を通じて確実に育てる教育を推進してまいります。
(1)教育内容の充実について
各学校の教育課程に基づき、組織的かつ計画的に教育活動の質を高めていくカリキュラム・マネジメントの実現により充実させてまいります。
[1]「生きる力」の育成について
「確かな学力」の育成については、町独自の学力調査や全国学力・学習状況調査などの各種学力調査の結果を活用し、児童生徒の学力などに関する客観的なデータに基づいた組織的な授業改善を推進してまいります。
また、主体的に学ぶ力の育成に向けたデジタル教科書やICTの利活用を進め、個別最適な学びと協働的な学びを一体として実現する授業改善により一層取り組むとともに、今日的教育課題の解決や自校の教育課題の解決に向けた研究を学校全体で率先して行う学校を研究校として指定し、学校における教育研究への指導・支援を行ってまいります。
併せて、家庭との連携に基づいた放課後学習や長期休業中の補充学習、1人1台端末を活用した児童生徒一人ひとりの実態に合わせた学習保障をしてまいります。
「豊かな心」の育成については、道徳教育の充実に向けて、児童生徒が主体的に考え、議論する道徳授業の実践化を図るとともに、「生徒指導提要」を活用した取組として、自己存在感の感受、共感的な人間関係の育成、自己決定の場の提供、安全・安心な風土の醸成についての研修を進め、全教職員の共通理解・共通実施に取り組んでまいります。また、学校図書の管理体制の整備や情報化に取り組み、家庭や地域と連携して、日常から本に親しむ習慣の定着に向けた読書活動を行ってまいります。
いじめ・不登校等の問題に関しては、「浜中町子ども地区会議」や「1学校1運動」の実施、未然防止および早期対応のための教育相談の充実、スクールカウンセラーの配置、相談相手や心のつながり・学習保障のためにICTを活用してまいります。
「健やかな体」の育成については、体力・運動能力、運動習慣など調査結果の分析に基づいた計画を策定し、体育科の授業改善はもとより、継続して運動を続ける意欲を引き出す体力向上の取組を推進してまいります。