くらし トガリネズミラヴァ― 六田晴洋の私たちのご近所さん

VOL.26「新たな命にぎわう庶路の森」

所用で3週間ほど神奈川に帰省していました。白糠に戻ってから、久しぶりに庶路の森へ。すると、森はみずみずしい緑であふれ、幼い生きものたちの姿がたくさんありました。すっかり変わった森の様相に驚きながら、白糠の自然にとって、この時期の約3週間という時間がどれほど大きなものなのかを感じました。

■親の帰りを待つ子ギツネ
生後一カ月を過ぎたあたりでしょうか。2頭の子ギツネが大きな岩の上にたたずんでいました。きっとこの兄弟はお留守番中。親が狩りなどをしに出掛けている間、子どもたちは巣穴の近くで親の帰りを待ちます。
子ギツネたちは斜面の上からのぞき込む私をもの珍しそうに見つめていますが、少し緊張しているようにも見えました。これから厳しい自然界を自力で生きていくために必要な警戒心が、しっかり芽生え始めているようです。「立派なキツネになるんだよ」と声をかけてその場を後にしました。

■森の水たまり〜その後〜
6月号でお伝えした、エゾサンショウウオとエゾアカガエルの卵がたくさんあった水たまり。その後どうなったのか、帰省中ずっと気になっていました。さっそく行ってみると、もう卵はなく、子どもたちが泳ぎ回っていました。
卵の数を見た時は、この水たまりが子どもたちでギュウギュウになってしまうのでは?とも思いましたが、心配は無用でした。水たまりの広さに対して、ちょうど良さそうな子どもたちの数。もちろん天敵に食べられてしまった者もかなりいるでしょう。
ちなみに、首のあたりからエラが生えているのがエゾサンショウウオ、オタマジャクシの方がエゾアカガエルです。これから両種とも足が生え、陸で暮らすようになります。その過程を追ってみたいと思っています。

○PROFILE
六田晴洋 ろくた はるひろ
1986年生まれ。
2021年に白糠町へ移住。
大学卒業後、フリーランスのカメラマンやディレクターとして野生動物や自然風景を撮影している。
【URL】https://rokutaharuhiro.com