健康 大間病院だより

あなたらしい人生を、大切にしていくために
内科医長 角田 健悟

お久しぶりです。大間病院の角田といいます。1年ぶりに大間へ戻ってきましたが、たくさんの方に覚えていてもらえて、とっても嬉しく感じています。
さて、「ウェルビーイング」って聞いたこと、ありますか?カタカナで難しく聞こえますが意味はシンプルで「心も体も、まるごと満たされた幸福な状態」のことです。笑って、食べて、動けて、大事な人がいて、「明日もいい日でありますように」と思いながら布団に入る…それがウェルビーイングのひとつのかたち。
ウェルビーイングのための鍵が「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)」です。これは、病気や認知症などで自分の気持ちをうまく伝えられなくなったときのために、「最期はどこで過ごしたいか」「どんな医療を受けたいか」などを考え、元気なうちから家族や医療者と話し合っておく取り組みのことを指します。
「元気なのにそんな縁起でもない話、したくない」と感じる方もいるかもしれません。でも、“死の準備”ではなく“あなたらしい生き方の確認”こそが人生会議の目的です。たとえば、「最期まで家にいたい」「家族に囲まれて過ごしたい」…そんな望みを言葉にしておけば、それに向けて周囲はサポートできます。あなたの想いを尊重し、あなたが安心して自分らしく生きていくために人生会議があるのです。
人生会議を行うとき、特別な知識はいりません。家族や大切な人とテーブルを囲んで、昔話に花を咲かせながらでいいのです。何も準備をしなくても、話しているうちに「こんなふうに生きたい」という自分の気持ちに気づくこともあります。その想いは、聴いてくれた人の中に、ちゃんと残ります。
誰もがいつか迎える“その時”のために、自分らしい人生を見つめ直す時間をもつこと。それがウェルビーイングへつながっていくのです。
今夜は、ゆっくりご飯を食べながら少しだけ考えてみませんか?あなたらしい人生を、大切にしていくために。