くらし 〔特集1〕震災から14年 感謝を力に、いわてから切り拓く未来(1)

■東日本大震災津波から14年を迎えて
東日本大震災津波の発生から、本年3月11日で14年となります。改めて、犠牲になられた方々に、謹んで哀悼の誠を捧げます。岩手県は、「いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造」を目指す姿とし、国内外から多くのご支援をいただきながら、県民一丸となって復興に取り組んできました。これまでに、復興道路が完成し、防潮堤などの津波防災施設は、計画された事業の多くが完了しました。一方で、被災者のこころのケアなど一人ひとりの状況に応じたきめ細かい支援や、主要魚種の不漁対策などなりわいの再生については、中長期的に取り組んでいく必要があります。また、「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震」をはじめとした大規模災害に備え、関係機関と連携した防災・減災対策に取り組むなど、これからも、「誰一人として取り残さない」という理念のもと、「三陸のビルド・バック・ベター」、より良い復興に向けた取り組みを進めていきます。3月11日は、「東日本大震災津波を語り継ぐ日」です。復興の歩みの中で得られた多くの絆や、人と人とが支え合うことの大切さを胸に、東日本大震災津波の教訓を次世代へ語り継ぎ、一人ひとりの大切な人に想いを寄せながら、力を合わせて、ふるさと岩手を築いていきましょう。
岩手県知事 達増拓也

写真が2枚あります。
1枚目:東日本大震災津波伝承館いわてTSUNAMIメモリアル(陸前高田市)
伝承館の長方形の屋根を中心に大きな駐車場、海まで続く白い歩道、長く設置された防波堤。遠くには海と海を囲むような山並みが見えています。
2枚目:白いワイシャツにネクタイを締めた達増知事です。
※写真は本紙またはPDF版をご覧ください。

■いわての未来のために活動している人たち
自分たちが暮らす地域のため、そしていわての未来のために、地域の課題解決や地域防災力の向上に向けた活動をしている人たちがいます。ここでは、県内の2つの団体をクローズアップし、東日本大震災津波の発生から14年の今、どのような活動をしているのかをお伝えします。

○復興支援から、困りごとを解決する「地域の相棒」に
一般社団法人トナリノ
2011年、被災した陸前高田市の緊急支援のため「一般社団法人SAVETAKATA」として設立され、復興と発展に向けた活動を続けてきました。10年後の2021年、復興が進む中で、地域課題の変化に対応するため、活動の内容や地域を拡大し、「地域課題を解決する仕組みづくり」を行う団体へと移行。地域の相棒として、隣に寄り添う存在でありたいという思いを込め、法人名を「トナリノ」に変更し、地域の未来に向けた活動を行っています。

(活動1)防災伝承活動
3.11仮設住宅体験館を中心に、研修や体験型プログラムを通して、自らと家族の命を守るための知識を深める機会を提供しています。

写真があります。
震災当時に使われた応急仮設住宅の一部を活用した体験宿泊施設が建っています。プレハブの平屋の住居です。3段ほどの上がり階段とかまちのある玄関ドアが見えています。
※写真は本紙またはPDF版をご覧ください。

(活動2)団体支援活動
自治体や企業と連携して、地域の事業者や団体の計画作りや事務局運営、広報制作などの伴走支援を行います。

写真があります。
スマートフォンやパソコンに活動の様子が載せられています。
※写真は本紙またはPDF版をご覧ください。

(活動3)コワーキングスペース「ヤドカリ」の運営
旧仮設商店街「たまご村」にあるコワーキングスペースを運営。ワークスペースとしての利用はもちろん、カフェスペースやキッズスペースも利用できます。

写真があります。
室内に、細かく区切られた棚やスチールラックに様々なものが置かれたスペースです。並べられた机や椅子があり、机の上にはパソコンなどが置かれ、5,6人がそれぞれ作業をしているようすです。
※写真は本紙またはPDF版をご覧ください。

○復興の先を考える、防災を私たち「から」伝えていく
岩手県立大学防災復興支援センター学生団体FROM
防災・復興に関する調査研究や人材育成などの活動に取り組む「岩手県立大学防災復興支援センター」。同センターが2024年4月、「学生団体FROM」を設立しました。FROMは、学内公募で選ばれた学部・学年混合の20人の学生で構成され、このうち半数以上が防災士の資格を持っています。活動内容は、小・中・高等学校への出前講義や、自治体などが主催する各種防災訓練の運営支援、防災関連イベントの企画や出展・広報活動など。次世代を担う学生が、自分たちの目線で地域防災力の向上に向けた活動を行っています。

(活動1)防災・復興教育の支援
出前講義で実施することの多い「避難所運営ゲーム(HUG)」では、災害時の避難所運営などの課題について生徒たちと一緒に理解を深めます。

写真があります。
床の上に置かれた平面図を見ながら学生が生徒たちに説明をしています。平面図の上にはカードが置かれています。
※写真は本紙またはPDF版をご覧ください。

(活動2)地域防災活動の支援
自治体主催の総合防災訓練では、防災グッズの紹介や、アンケート調査を実施することも。地域の方々との交流の場にもなっています。

写真があります。
学生たちが参加者にマンツーマンでスマートフォンの操作などを説明している様子です。
※写真は本紙またはPDF版をご覧ください。

(活動3)防災・復興に係る情報発信
防災関連イベントの企画や出展を通じて、災害に備えることの重要性について情報発信しています。

写真があります。
防災用のペットボトルやレトルトの食品などが並べられ、学生が小学生に説明している様子です。
※写真は本紙またはPDF版をご覧ください。