くらし 名取人[第31回]

腹話術師
カズちゃん(飯倉和子さん)
「腹話術の可能性を信じ、技を磨き続ける」

特殊詐欺の犯人が、逆に金を巻き上げられてしまう―。
特殊詐欺の被害防止を呼び掛ける自作の演目「特殊な特殊詐欺」のあらすじです。軽妙な語り口、ユーモアを交えたセリフ構成、命を吹き込まれたように巧みに動く人形が繰り広げる世界感に観客たちは引き込まれていきます。
女の子の人形「シーちゃん」、サルの人形「チャッキー」とともに、市内の児童館や高齢者サロンなどで防犯や介護予防などをテーマにした腹話術を続けます。
「人形は思い通りのキャラクターになってくれる。それが腹話術のおもしろさ」。「感情移入し、物語の世界に浸ってくれる観客の姿を見ると達成感がある」と声を弾ませます。
腹話術を始めたのは約7年前。同様に腹話術をしていた母親の影響で始めました。介護の仕事の傍ら仙台市内の腹話術教室で学び技の鍛錬を重ね、昨年、アマチュア腹話術師の頂点を決める「F―1腹話術グランプリ」のエンターテイメント部門で優勝しました。
「意外な結果。とにかく驚いた」と振り返ります。優勝後、出演の依頼が増えたといい「腹話術の古いイメージを払しょくできるよう、いろいろな場所で腹話術をやってみたい」。そんな目標を見据えます。
「笑いと一緒にさまざまなメッセージを伝えられる」。そんな腹話術の可能性を信じ、技を磨き続ける日々です。