- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県栗原市
- 広報紙名 : 広報くりはら 令和7年4月号
「変わらない場所」と「変わる場所」
市内に暮らし、社会人として働く二十歳の二人。日々の暮らしを栗原で過ごす二人に、市のこれまでの軌跡と、今の栗原はどのように映っているのか、聞きました。
■これからも住み続けたい ちょうどいい場所
佐々木 和志 さん(瀬峰上富)
◇栗原の魅力は人の温かさ
父の勧めで小学2年生から野球を始め、社会人となった今も続けています。野球のおかげで、これまでたくさんの友人ができました。
例えば、中学3年に進級する段階で、それまで通っていた瀬峰中学校が閉校となり、新設の栗原南中学校で学ぶことになりました。私は、瀬峰中学校に入学した段階から一緒になることが予定されていた高清水中学校の生徒たちと一緒に、一つの野球部として、練習を重ねてきました。中学校が栗原南中学校になったとき、やっと一緒になれたといった感じで、それまで同様、仲良く野球の練習や試合をしながら汗を流し、大切な仲間を得ることができました。
市の合併前のことはよく分かりませんが、大切な仲間たちと出会えて、合併して良かったと思っています。
また、中学校の野球の試合では、面識のない地域の人たちが「おらほの中学校」だからと言って、試合の応援に来てくれるなど、その人の温かさがうれしかったです。このように地域の人たちが優しいところも、栗原の魅力です。
◇田舎過ぎず、都会過ぎず
栗原は交通アクセスも良く、暮らしやすいと思います。私が住む瀬峰地区は、電車で仙台市にもアクセスできますし、隣接する登米市や大崎市にも近く、私も高校は大崎市内の高校に通っていました。また、お店も大型店を含め市内にあるため、生活に不便を感じません。
栗原は、田舎過ぎず、都会過ぎず「これからも住み続けたい、ちょうどいい場所」だと思います。
■栗原に生まれて良かった
吉尾 はな さん(栗駒栗原沖)
◇変わらない場所がある
私は今、栗原で暮らしながら、隣接する登米市で働いています。就職が決まったとき、将来は、登米市内に住むことを考えました。しかし、実際に働き始めてみると、十分に通勤できることが分かり、栗原の生活で、特に不便を感じることもありません。
もちろん、市には、大都市のような華やかさはありません。それでも、栗原には、自然豊かで美しい風景があります。私は、シーズンになると栗駒山の登山口の一つ、いわかがみ平までドライブで行くこともありますし、夕方、伊豆沼に沈む夕日やその周りを舞うハクチョウなど、その風景は美しく、心を奪われます。変わらない場所があること、それも大切なことです。
◇栗原に生まれて
市は、住みたい田舎ベストランキングで日本一にも選ばれ、話題に取り上げられることも多くなってきました。実際、地元の栗駒地区の六日町通り商店街では、空き店舗を活用して、新しくお店を開く人も増えています。また、夏を中心に開催される夜市では、県内外からたくさんの人が訪れ、街に活気が戻っていることを感じます。
さらに、市は、子どもの医療費を無料にするなど、子育て支援が手厚いと感じています。そのようなこともあり、友達は市内に残りたいという人も多く、就職時期を迎え、就職先を市内に絞る友人もいます。
今後は、地域を盛り上げるイベントを、他の人たちと一緒に開催したりしながら、栗原を盛り上げていきたいです。また「この栗原に生まれて良かった」と思っています。
■二十歳のキセキ
市が誕生して20年。10町村の歴史を引き継ぎ「きっと、未来は明るいものになる」。そう信じて、私たちは栗原市民になりました。
時が過ぎ、全国同様に市も人口減少が進み、大都市のような華やかさは、今もありません。
それでも、市の二十歳の若者たちは、こう言います。「栗原に生まれて良かった」と。さらには「これからも住み続けたい場所」と。そして、今や、栗原は全国でも人気の移住先として、多くの注目を集めています。
合併当時、奇跡のような今の状況を誰が想像できたでしょうか。とかく何もないと言われた当時と変わらず、栗原は今日もここにあります。
春、雪解けとともに姿を現す栗駒山の駒姿。夏の伊豆沼や内沼を覆いつくすハスの群生、秋の栗駒山の紅葉。そして、冬に編隊を組んでねぐら入りするマガンの群れ。毎年当たり前のように繰り返される自然の営みが、今日もここにあります。
そして、市民の温かな人柄や、次代を担う者たちへ向け、一歩前に踏み出す勇気を伝えた情熱。私たちは、目には見えない宝物をたくさん持って、この20年を歩んできました。そして、それは、この先も私たちが大切に持ち続けていくべきものかもしれません。
二十歳の若者は言います。「人口減少は止められないでしょうが、人としての温かさを失わずにいてほしい」と。
市誕生20年。新しい扉に向かって、これまで持ち続けた宝物と、あの日と同じく希望を持って、一歩前へ。
今日からまた、新しい軌跡の1ページが始まります。