- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県大崎市
- 広報紙名 : 広報おおさき 2025年9月号
毎年9月21日は、国際アルツハイマー病協会(ADI)と世界保健機関(WHO)が共同で制定した「世界アルツハイマーデー」です。
この機会に、認知症に対する新たな見方「新しい認知症観」について考えてみましょう。
■認知症ってなんだろう?
認知症とは、さまざまな原因で脳の機能が低下し、記憶や思考、計算、学習、判断などの認知機能が損なわれ、日常生活に支障をきたす症状を指します。
現在、65歳以上の高齢者の約3人に1人が認知症に関わる症状を有するといわれています。超高齢社会といわれる日本において、今後、誰もがなり得る認知症について、一人一人が「自分事」として理解する必要があります。
■主な認知症の類型(三大認知症)
▽アルツハイマー型認知症 約70パーセント
初期症状では、「昔のことはよく覚えているが、最近のことを忘れてしまう」といったことが多くなります。進行すると、時間や場所の感覚がなくなり、状況に応じた判断が難しくなります。
▽脳血管性認知症 約20パーセント
脳梗塞や脳出血など、脳血管障害を原因に発症する認知症で、脳血管障害が起こるたびに段階的に進行します。障害を受けた部位によって症状が異なり、運動まひなどを起こすことがあります。
▽レビー小体型認知症 約5パーセント
実在しないものが見える幻視や、手足が震える、筋肉が固くなるといった症状が現れます。歩幅が小刻みになり、転びやすくなります。
■新しい認知症観について
令和6年1月1日「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」施行に伴い、認知症施策推進基本計画で「新しい認知症観」が示されました。
これは、従来の「認知症」に対する極端に後ろ向きな捉え方を一新して、前向きに自分らしく希望を持って生きられるような捉え方にしていこうとするものです。
▽古い認知症観
(1)他人事、目をそらす、先送り
(2)何も分からない、何もできなくなる
(3)本人は話せない・声を聞かない
(4)おかしな言動で周りが困る
(5)危険重視、過剰に制限しても仕方がない
(6)周囲が決める
(7)本人は支援される一方、負担の存在
(8)地域で暮らすのは困難
(9)恥ずかしい、隠すべきもの
(10)暗い、萎縮、諦め、絶望的
↓
▽新しい認知症観
(1)自分事、向き合える、備える
(2)分かること・できることが豊富にある
(3)本人は声を出せる・声を聞く
(4)本人が一番困っている
(5)当たり前の人権重視、自由と安全のバランス
(6)本人が決める(決められるように支援)
(7)本人は支え手でもある、経験者として大切な存在
(8)地域の一員として共に暮らす
(9)自分は自分、自然体でオープンに
(10)楽しい、伸び伸び、諦めず、希望がある
出典:令和6年度認知症地域支援推進員研修資料(認知症介護研究・研修東京センター)を基に作成
■オレンジ会議(本人ミーティング)に参加しませんか
認知症の人が集い、本人同士が中心となって自らの体験や希望、必要としていることを語り合う場です。自分たちのこれからのより良い暮らしや暮らしやすい地域の在り方を一緒に話し合い、発信しています。
同時に、家族同士で語り合う「家族ミーティング」も行っていますので、ぜひ家族の皆さんも一緒に参加してください。
日時:11月13日(木) 10時~11時30分
場所:図書館(来楽里ホール)
対象:認知症と診断された人、家族
申込:11月12日(水)まで各地域包括支援センターに電話で申し込み
▽参加者の声
・Aさん女性
大事なものをなくして落ち込んでいたが、一人暮らしで誰にも言えなかった。そういったことを気軽に話す場ができてうれしい。
・Bさん男性
「いつまでも元気でいるために自分が習慣化していること」や「認知症とうまく付き合うための豆知識」をもっと互いに共有したい。
・Cさん家族
帰り道の本人の足取りが軽く、とてもうれしそうで私もうれしくなった。
集いの場として「としょカフェ」も実施しています。(本誌18ページ)
■本人に話を聞きました -みやぎ認知症応援大使 遠藤実(みのる)氏-
違和感を抱いたのは「16時って何時だろう」と時計の見方が分からなくなったり、「令和○年」と「令和○年度」の違いが分からなくなった時で、そういったことがどんどん増えてきたように感じていました。
小学校の校長を退職して2カ月後、病院で「若年性アルツハイマー型認知症」と診断されました。診断された時は、「これから先どうしたらいいだろう」という不安な気持ちが大きかったです。その後、家から出ずに過ごす日々がしばらく続きました。
ある時、勇気を出して「オレンジ会議」に重たい足を運びました。そこで同じ立場の人たちに出会えたことで「自分にできることを探したい」「周りの人の役に立ちたい」という気持ちが芽生えました。そうして認知症であることを周囲に打ち明けられるようになった時には、地域の皆さんに声をかけてもらって、交流する機会も増えていました。
人と交流をしていると、私たちの周りは愛であふれていると感じます。
認知症になっても、人生は希望にあふれていると思うのです。
■まずは身近な相談機関へ相談してみましょう
・高齢障がい福祉課高齢福祉担当 【電話】23-6085
・各総合支所市民福祉課
松山 【電話】55-2114
三本木 【電話】52-2114
鹿島台 【電話】56-7114
岩出山 【電話】72-1212
鳴子温泉 【電話】82-3131
田尻 【電話】38-1155
・古川地域包括支援センター 【電話】87-3113
・志田地域包括支援センター 【電話】53-1271
・玉造地域包括支援センター 【電話】72-4888
・田尻地域包括支援センター 【電話】39-3601
毎月、専門相談も実施しています。(本誌22ページ)
問合せ:高齢障がい福祉課高齢福祉担当
【電話】23-6085