- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県丸森町
- 広報紙名 : 広報まるもり 令和7年4月号
■「日本米のみらい」
今年も水稲の種まきの季節が訪れた。農機具の音が心地よく響き、農家にとっては忙しくも張り合いのある時期である。
かつては各農家が家族総出で作業を行っていたが、担い手不足で、現在は農業法人や大規模農家への作業委託が主流となっている。そのため、限られた農家だけが作業する姿が目立つようになった。
また、国の大型圃場整備やスマート農業の推進も思うように進んでいない。人々の生活に欠かせない大切な食糧を生産しているにもかかわらず、農業に就く人が減少していることは、大きな懸念材料である。
昨年秋からの米価高騰は深刻な問題となっており、現在もその状況は続いている。店頭では米が品薄になっているうえ、見かけても驚くほどの高値で販売されている。先日、玄米30kgが18,200円で売られているのを目にした。1俵に換算すると36,400円である。
この状況を踏まえ、改めて農業の重要性を見直し、国を挙げてその推進に取り組むべきだと考える。生産者には再生産が可能な所得を保障し、消費者には価格変動を抑えて安定供給できる仕組みを整える必要がある。
政府は備蓄米の放出を決定し、3月には入札が行われた。1俵21,000円台で落札されたが、消費者の手に届く時にはどのくらいの価格になるのだろうか。
現在、町では農業後継者不足と従事者の高齢化が深刻化している。農業は生きていくうえで不可欠な産業であり、その価値を再認識する必要がある。そして、農業の未来を支えるためには、新たな担い手の確保が欠かせない。
自然を相手にしながら、自分の思うように、そして手をかければかけるほど収穫の喜びを得られる。そんな農業の魅力を、改めて多くの人に見出してほしいと思う。
丸森町長 保科郷雄