- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県丸森町
- 広報紙名 : 広報まるもり 令和7年4月号
■暦(こよみ)の話
阿武隈天文同好会 大槻功
先日、節分の日がいつもの年と違い2月2日ということが話題になっていましたが、今回はそのお話をさせていただきます。
壁に貼ってあるカレンダーを見てみると1月から12月と書いていますが、そこには「月」という文字が入っています。今は地球の公転周期(365日)を基にした「太陽暦(たいようれき)」がカレンダーになっていますが、昔の日本では、月の満ち欠けを基準とした「太陰暦(たいいんれき)」が使われていました。月が太陽と地球の間に入る「新月」の日が1日目で、そこから3日目に見える月が「三日月」、15日で「満月」です。つまり、月の形を見ればカレンダーを見なくても今日が何日か分かるという仕組みでした。
しかし、太陰暦を基準にすると、季節の移り変わりにズレが生じます。1年は365日ですが、月齢(29.5日)で計算すると354日にしかならず、比較すると11日も足りません。それでは困るので、「うるう月」を入れるという半端な調整していました。つまり、過去には1年が13か月の年もあったのです!
そのように、年によって大きく日付がズレるのは困るので、太陽を基準にした「二十四節気」が併用されてきました。1年を24等分してそれぞれに季節らしい名前が付いています。「春分」や「立春」などがそうですね。これは現在でも使われていて、行事や祭りなどの風物として季節の話題になっています。
日本では、明治5年以降に太陽暦が主流になるのですが、農村部などでは昭和30年ぐらいまで太陰暦が使われていたようです。
現在の太陽暦は「グレゴリオ暦」とも呼ばれ、古代エジプトで考案されたそうです。エジプトでは、ナイル川の氾濫を利用して農業を営んでいたようで、氾濫周期を予測するために天体の動きを観察して誕生したのが「太陽暦」です。
1日を365回繰り返した時間が1年ですが、太陽の運行とは少しだけズレが残っています。それで4年に一度、2月の日付を29日とする「うるう年」が必要になります。実はそれでもわずかなズレがあるので、それを調整するため節分の日などを変更する場合があるという訳なのです。それを決めるのは国立天文台で、詳細に太陽や天体の動きを観測して決定しています。毎年2月に翌年の暦が発表され、それがカレンダーの基準になっているのです。