くらし スキーがつなぐ友情 ~山形市とキッツビューエル市の60年~

〇キッツビューエル市とは?
オーストリアにあるアルプス山麓の都市
位置:オーストリア西部・チロル州
人口:約8,000人
面積:58平方キロメートル(蔵王+滝山地区面積とほぼ同じ)
公用語:ドイツ語
時差:8時間

▽雪原から生まれた友情 山形キッツビューエルクラブ会長が語る60年の歩みとこれから
山形キッツビューエルクラブ会長 岡崎彌平治さん
〈プロフィール〉
山形市生まれ。
オーストリア・キッツビューエル市との理想的な姉妹都市関係の構築を目指す「山形キッツビューエルクラブ」で、会員として活動後、会長に就任。訪問団の一員としてキッツビューエル市を幾度となく訪れ、民間外交の推進にも尽力している。
株式会社高見屋旅館代表取締役会長。
蔵王エリアを中心に複数のリゾート施設を展開。地域の観光資源の魅力を国内外に発信し続けている。

山形市とオーストリアのキッツビューエル市は、令和5年に姉妹都市締結60年を迎えました。両市の姉妹都市締結のきっかけは、世界的に活躍していたスキーヤーの存在にあります。オリンピックでアルペンスキー初の3冠を達成したキッツビューエル市民、トニー・ザイラー氏が映画『銀嶺の王者』(1960年)の撮影のため蔵王を訪れた際、スキー環境がよく似ていたことから、スキー関係者を中心に両市間の交流が始まりました。
今号では、長年この交流を支えてきた山形キッツビューエルクラブの四代目会長・岡崎彌平治さんにお話を伺いました。

▽交流の原点~「先駆け」が紡ぐ半世紀の物語~
岡崎会長は交流が始まった当時を振り返り「日本の他のスキーリゾートにもオーストリアと姉妹都市の関係を持っている都市はありますが、その中でも山形市はオーストリアと古くから交流があり、国際交流の先駆けとなりました。私が6歳の頃、当時スキー界のスーパースターだったトニー・ザイラー氏が蔵王でロケをしていました。その後もトニー・ザイラー氏はよく来るようになり、私が8歳だった頃、山形市とキッツビューエル市は姉妹都市となりました。交流10周年の記念で、山形市初の訪問団の一員としてキッツビューエル市に行ったときには、まちを挙げてのパレードで盛大に歓迎してくれたのを覚えています。これほど大切にしてもらったので、その後も両市が何度も訪問団を派遣し、ここまで良好な関係を築いているのだと思います」と語りました。
蔵王とキッツビューエル市がスキー環境で共通点が多いことも縁を感じると話します。
「キッツビューエル市では優勝者がカイザー(帝王)と呼ばれる有名なスキーレース『ハーネンカム・レース』が毎年開催されますが、『ハーネンカム』とはドイツ語で『鳥の頭』を意味します。蔵王温泉スキー場にもこのレースにちなんだ『ハーネンカムコース』という競技コースがあります。このコースがある山の名前は鳥兜山で、こちらも『鳥の頭』を意味する名になっていて面白い縁を感じます」

▽キッツビューエル市の魅力~歴史、食、そしてホスピタリティ~
「キッツビューエル市は、おとぎ話のような美しい景観と洗練された雰囲気で、訪れる人々を引きつけます。治安も良好で、日本人観光客も安心して過ごせる環境が整っています。
かつて帝国が築かれたオーストリアの文化を感じることもできます。まちの機能的な部分は時代に合わせて進化しているけれども、昔のものは大切に残されています。私が50年前に訪れたときにあった建物も当時のまま今もきれいに残っています。
食事では、オーストリアの代表料理『シュニッツェル』(カツレツ)が手軽に楽しめます。私のおすすめは、外はカリカリ、中はふわふわの焼きたてパンに、ブルーベリーやブラックベリーのジャムを添える朝食ですが、周辺国の影響を受けた料理や、リゾート地ならではの料理など、バリエーションに富んでいます。
また、オーストリアの人の親切さには常に感銘を受けています。人と話したり、人に優しくしたりするのが好きな国民性で、ホスピタリティあふれる国だと思います」

▽未来へつなぐ交流と市民へのメッセージ
「山形市とキッツビューエル市の姉妹都市としての友好交流は、単なる歴史的関係にとどまらず、両市がスキー文化を育み、世代を超えて友情を深めてきた証しです。私たち山形キッツビューエルクラブとキッツビューエル市にあるキッツビューエル山形クラブのように、民間交流も深まり、次世代にも交流の輪が広がっています。ジャンプとアルペンの違いはあるけれど、共に世界的なスキー大会の開催地という共通点もあります。この60周年を機に、さらに交流が活発化し、山形市とキッツビューエル市の絆がより一層深まることを期待しています。今回の市民訪問団では、キッツビューエル市民とより深く交流し、キッツビューエル市の魅力的な文化を体験できます。市民の皆さん、この特別な機会にぜひキッツビューエル市への市民訪問団に参加し、その魅力を体験してみてください」

▽「市長と行く」姉妹都市締結60周年記念市民訪問団参加者募集
キッツビューエル市を広く市民の皆さんに知ってもらい、さらなる友好親善を図るため、市長を団長にキッツビューエル市へ市民訪問団を派遣します。
とき:9月29日(月)~10月6日(月)
定員:先着20人
申込み:7月1日午前10時から
※旅行代金、旅程、参加申し込みなど詳しくは、株式会社JTB山形支店へ。
【電話】641-9500
※市民訪問団について詳しくは、市ホームページへ。

〈訪問日程〉
1日目 山形市出発
2日目
・世界遺産の都ザルツブルク市視察
・キッツビューエル市到着
3-4日目 キッツビューエル市での交流活動
5-7日目 魅惑の古都インスブルック市、ミュンヘン市(ドイツ)滞在
8日目 山形市到着

問合せ:国際交流センター
【電話】647-2275