- 発行日 :
- 自治体名 : 山形県西川町
- 広報紙名 : NETWORKにしかわ 令和7年3月号
■町の地すべりの現状
上小沼の水源地における地すべりの状況については、山形県が実施主体となり、令和3年度から6年度にかけて調査が行われました。
その結果、水源地の地下に、地すべりの「すべり面」が確認されました。地すべりでは、このすべり面を境界として、すべり面より上層にある土砂が、斜面の下方にずり落ちていく現象が確認されます。
■地すべりの影響
土石流や土砂崩れとは違い、地すべりでは、すべり面にそって土砂が少しずつ動きます。このため、直ちに影響が出るわけではありませんが、大雨や地震等の影響により、活発に地すべりが進行する可能性もあり、楽観はできません。
活発に地すべりが進行した場合、地形が変わることにより、川がせき止められてしまい、土石流などの二次災害が発生する可能性が出てきます。
また、町全体への影響としては、水源地の地形が変わり、水道施設が被害を受けてしまうことで、これまでどおりに取水ができなくなってしまい、水道事業が滞る可能性もあります。
上小沼の水源地からの取水ができなくなってしまうと、町内の広い地域での生活に支障をきたすこととなり、町としても対策が必要だと考えています。
地すべりは、地下水が豊富であることが原因となって発生します。上小沼も例外ではなく、水源地であるがゆえ地すべりが発生してしまっています。
地すべりの対策としては、地すべりを誘引する地下水を抑制=水を抜く方法と、地すべりを物理的に抑止=地面に杭を打つ方法を組み合わせて行う事が一般的です。
▽影響を受けるおそれのある地区
※海味の一部と睦合・吉川は広域水道からの供給も受けています。
■地すべり対策の課題
上小沼地区での地すべり対策の難点として、工事を行うことにより、既存の水源に影響を与える恐れがあることが挙げられ、代わりになる水源が必要です。
また、代わりとなる水源から水を引くための工事が必要となり、多額の費用が見込まれます。埼玉県八潮市をはじめとして「インフラクライシス」が叫ばれていますが、西川町がインフラクライシスに陥らないためにも、水道事業に対する町民の皆さまのご理解が必要となってきています。
■水資源を守るために
名峰月山を中心として、全国でも有数の積雪量を誇る西川町。この積雪が西川町の水資源を支えており、水資源は、生活インフラとなっているだけでなく、「月山自然水」や「月山ビール」といった特産品も生み出しています。
水道事業は全国的に見ても岐路に立たされていますが、令和7年度に実証する「水道サポート隊」の取組などを組み合わせ、あらゆる手を尽くして水資源を守っていきたいと考えています。