くらし 町長コラム 温故創新

■陸羽西線
先頃の高屋トンネル貫通を受け、伸び伸びになっていた陸羽西線の再開ですが、いよいよ来年1月に決定したようです。同時に羽前前波(新庄)、高屋(戸沢)の2つの駅は乗降客が見込めないため、通過駅にするとの発表もあったところです。
一方、知事の方からは山形新幹線の庄内延伸にも前向きな発言も出ています。地域で議論を醸成させてほしいとの声もあり、庄内2市3町では勉強会を行っていくことにしましたが、現実的には、余目駅の一日あたりの乗車客は1968年の2659人をピークに2024年には375人まで落ち込んでいます。
1987年の国鉄民営化の際も、乗降客の少ない赤字路線として廃線かと話題になった中、県土の均衡ある発展や欠かせない交通機関として存続を守ってきた路線です。
バス代行前の2021年の年間赤字額は8億9,100万円になっています。民間企業であるJR側の視点に立てば、採算の取れない路線の継続はなかなか難しいのかもしれません。
それでも、高規格道路、みちのくウエストラインの延伸と合わせ、産業、観光、命の路としての機能は絶大です。また、環境負荷や大規模輸送、費用対効果の面においては鉄路にかなう交通機関はありません。
今こそ、この陸羽西線という素晴らしい財産をどう有効活用して遺していくのか、真剣に議論すべき時期がきています。沿線自治体はもとより、オール庄内や県、陸羽東線も合わせ、幅広い議論と取り組みが急務です。
今一度、鉄路に何を求め、地域に何を遺すのか。地方創生の時代の鉄路の在り方を国への要望も含めて、地域の交通網が持続可能な未来に繋がるようしっかり活動していきます。
庄内町長 富樫透