くらし [特集1]ハタチ酒プロジェクト―二十歳に乾杯―(1)

■いわきの恵みと「ハタチ酒」
本市の農産物は、光・水・土の豊かな恵みを受けて育ちます。
年間2000時間以上と全国でも有数の日照時間、夏井川水系や鮫川水系など、山に蓄えられたミネラルを運んでくれる豊富な水源、粘土質が強く、保水力に優れ、養分を蓄える力が高い土壌。
ハタチ酒には、こうした自然の恵みを受けて育てられた酒米「夢(ゆめ)の香(かおり)」が使用されています。
夢の香は、福島県で開発された酒米で、透明感のあるバランスの良い味わいと香りの高さが特徴ですが、市内でこの酒米を栽培している農家は、わずかに1軒だけとなっています。
この酒米でハタチ酒を醸造するのが、太平桜酒造(常磐)です。享保10(1725)年から300年続く酒蔵で、地産地消を理念とし、地域に密着した酒造りをしています。長い歴史の中で受け継いできた伝統と技術をもとに作られる日本酒は、9割以上が市内で消費されており、長年に渡り、地域で愛されてきました。
日本酒づくりは、単なる酒の製造を超え、文化的で歴史的な多くの要素を含んだ活動です。一滴一滴に込められた職人の思いや地域の特色、そして飲む人々の楽しみが共鳴し合うことで、その魅力はさらに広がっていきます。
いわきの豊かな恵みとたくさんの人々の思いが郷土愛として強く結び付いた「ハタチ酒」。ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

■郷土愛を育むプロジェクト
いわきハタチ酒プロジェクトは、主に20歳を迎える若い皆さんに、自分たちで作った日本酒でハタチの乾杯をしてもらおうという取り組みで、市内の酒販店が中心となり、2018年の第1期から昨年の第7期まで、総勢71名の方が参加してきました。
本プロジェクトでは、5月の田植えに始まり、稲刈り、麹づくり、仕込み、上槽など、原料となる米作りから酒造りまでの一貫した体験を1年かけて行います。
こうした一連の体験によって、ものづくりの魅力やその奥深さを感じるとともに、酒造りに携わる「人」との出会いを通し、ふるさといわきへの「思い」を見つめ直す、貴重なプロジェクトです。
本年3月に完成した7期生7名たちによる「ハタチ酒」。進学や就職等を機にいわきを離れた若い世代の方が本プロジェクトを通して、ふるさといわきをどう感じたか、そこに携わる方たちの思いなど、酒造りと郷土愛をテーマに、新たな本市の魅力をお伝えします。

◇プロジェクトの主な活動
(1)田植え(5月)
(2)稲刈り(9月)
(3)麹づくり(1月)
(4)仕込み(1月)
(5)上槽(2月)
(6)完成(3月)