- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県白河市
- 広報紙名 : 広報しらかわ 令和7年8月号
(ひ)ひっそりと ビャッコイ息(いき)づく 表郷(おもてごう)
ビャッコイは、表郷小学校の北側にある林の泉に自生しているカヤツリグサ科ビャッコイ属の水草で、8月から9月頃に花を咲かせます。
ビャッコイは漢字で「白虎藺」と書き、戊辰(ぼしん)戦争時の白虎隊(びゃっこたい)にちなんだ名前となっています。これは、1900年頃に表郷で発見され、福島師範学校を経由して植物学者である牧野富太郎(まきのとみたろう)に渡った際、白虎隊の古戦場である岩代国戸ノ口原(いわしろのくにとのくちはら)(現会津若松市)での採取品として伝えられたため、その名が付けられたと言われています。
かつては栃木県大田原市(おおたわらし)にも生育していたとされますが、今日、国内で確認できるのは表郷のみです。近縁種が南半球のオーストラリア、インドネシア、パプアニューギニア、ニュージーランドに分布していますが、現状北半球では、表郷だけで確認されています。
自生地は県の天然記念物に指定されていますが、近年は周辺環境の変化に伴い生育範囲が減少しており、環境省レッドリストでは、絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧1.A類」に分類されています。
希少な植物であるビャッコイは、絶滅の危機にひんしながらも、北半球の片隅で静かに息づいています。
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