健康 ほっときらり通信

喜多方市地域・家庭医療センター「ほっと☆きらり」
医師 武田 仁

■中高年の膝の痛み
みなさんこんにちは、今回は膝の痛みの話です。中高年の患者さんが慢性的な膝の痛みを訴えて受診することがあります。膝関節の軟骨がすり減ってしまうことで起きる変形性膝関節症のことが多いです。変形性膝関節症は40歳代から少しずつ増加し、60〜70歳代に最も多くなります。この病気は女性に多く、女性の患者さんは男性の3倍程度いるとされています。なぜ女性は変形性膝関節症になりやすいのでしょうか?
中高年での変形性膝関節症の増加は、体重の増加と筋力の低下が主な要因とされています。男性の肥満が40〜50歳代で最も多くなるのに対し、女性の肥満は50〜60歳代で最も多くなります。これには加齢による基礎代謝の低下と共に、閉経により卵巣からの女性ホルモンの分泌が止まり、脂肪がたまりやすい体質になることも関係しています。また女性ホルモンは筋量の維持にも関わっており、閉経後の女性は毎年0・6パーセントずつ筋量が低下するとされています。体重が増えて膝関節への負担が大きくなる一方、筋力が低下して膝関節への衝撃を吸収しきれなくなり、膝関節の軟骨が消耗することで膝の痛みが出るようになります。
変形性膝関節症に対する最も大事な治療は、食生活を見直して少しでも体重を減らし、太ももの筋トレ(大腿四頭筋訓練)をして筋力を増やすことです。減量と筋トレという地道な努力を続けることは、高額なサプリメントを飲むよりもはるかに効果的なので、ぜひ整形外科のお医者さんと相談して頑張ってみてください。