文化 おしえて博物館-七十四-

『国指定史跡 羽山横穴』

古墳時代とはその名の通り、権力者のお墓である古墳が造られた時代です。
古墳は日本各地で盛んに造られましたが、しだいに小さくなり、なおかつ一つの場所にまとまって造られるようになります。
古墳時代の終わり頃には、山の斜面や丘に横から穴を掘って造るお墓が登場します。いわゆる横穴墓(よこあなぼ)です。羽山横穴も、この時期に造られ、昭和49年に国史跡に指定されました。
古墳時代終わり頃の東日本の太平洋側では、横穴墓が多く造られる傾向があり、羽山横穴の周辺にも約20基の横穴墓が残されています。その中でも羽山横穴が特別とされる理由は、死者を安置した玄室内部に絵画が描かれた装飾横穴であることです。
天井と壁には赤色の顔料となる酸化鉄と白色粘土で人物や馬、白鹿などの動物たちが描かれています。さらに渦巻文(うずまきもん)や長方形、水平線、蛇行線(だこうせん)などの模様も見られます。
福島県では羽山横穴以外にも、沿岸部を中心に、赤色や白色で模様が施された装飾横穴が見つかっています。その中でも、双葉町の清戸迫横穴、泉崎村の泉崎横穴には、羽山横穴と同様に渦巻文が描かれています。
このように、この時代の福島県の沿岸部には、渦巻文というシンボルを持つ精神文化が広がっていたといえるのではないでしょうか。
そんな羽山横穴は毎年4・5・9・10月の第2日曜に一般公開を行っています。普段は見られない羽山横穴を実際に見ることができる貴重な機会です。また、博物館の常設展示室には実物大の模型を展示しています。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

問合せ:市博物館
【電話】23-6421