- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県西郷村
- 広報紙名 : 広報にしごう 令和7年10月号
◆大切で、大好きな場所
○越前さんにとって、西郷村はどんなところですか。
2ヶ月に1回くらい帰省していますが、実家に帰って家族に会うと、ほっとします。それと、私は祖父母が大好きで、祖父は去年亡くなってしまったのですが、祖母はまだ元気でいますので、会えるだけでも嬉しいです。
帰ってきたら家でゆっくり過ごしますが、同級生がやっているラーメン屋さんにもよく行きます。
西郷村は、大切な場所、大好きな場所です。周りからすると、「村」って田舎でしょって言われるかもしれないけれど、人口の多さや新幹線、高速道路のインターチェンジがあったり、便利な場所ですよね。
また、繋がりの強さも感じています。
昔から知ってる人たちは今でも応援してくれていますし、最近では、新聞に掲載されたとき等、祖父母の友達からも頑張っているねなんて言われたりするので、嬉しいですね。
◆頑張っていることを続けてほしい
○越前さんは教員としてお勤めされていますが、教え子や村の子どもたちに、伝えたいことはありますか。
今、私は特別支援学校で教員をしています。肢体不自由の子たち、その中にはきこえない子もいます。特別支援とか障がいという言葉は、マイナスなイメージを持たれることが多いと思うんですが、それは違います。
よく「障がいを乗り越える」って言葉をききますが、私はそれにちょっと違和感を感じているんですね。
例えば私は耳がきこえませんが、乗り越えるっていうと、きこえるように頑張ろうって意味にも取れます。でも、きこえないことは「事実」なんです。きこえるようにはなれません。
だから、悪いところ、できないことだけに固執するのではなく、自分の良い面に目を向けて、これもできる、あれもできるようになった、と自分に自信を持てるようになってほしいです。
教え子たちや村の子どもたちには、何でもいいから、やりたいことや今頑張っていることを、できるだけ続けてほしいですね。
何かに一生懸命になれることは、本当に幸せなことです。
壁にぶつかることもあると思いますが、そこで諦めるのではなく、どうやったら克服できるのか考えて、夢を追ってほしい、その過程を楽しんで過ごしてほしいなと思います。
◆手話言語に興味をもつきっかけになれば
○最後に、村民の皆さんへメッセージをお願いします。
今、社会では「共生社会」という言葉をよくききます。皆さんの生活の中でも、もしかしたらきこえない方とすれ違ったり、話したり、そういった機会が増えるかもしれません。
そんなとき、自分と違うと思ったり、手話言語が分からなかったり、そういったことで気後れしないでほしいですね。同じ人間だよ、対等なんだよ、と。ぜひ興味を持って、話してほしいなと思います。
また、手話言語にも興味をもってもらえたらと思います。
デフリンピックを観て、手話言語って面白いなと感じてもらったり、そこから手話言語を知ることに繋がったりしたら、とても嬉しいですね。
■デフリンピックについて知ろう(1)
○デフリンピックとは?
「デフ(Deaf)」は英語で「耳がきこえない」という意味です。デフリンピックとは「きこえない・きこえにくい人のオリンピック」で、オリンピックと同じように、4年に1度、夏季大会と冬季大会が2年ごとに交互に開催されます。
今年行われる東京2025デフリンピックは、100周年の記念すべき大会で、日本初開催です。70~80の国・地域から、約3,000人の選手が参加します。
○オリンピックとの違いは?
競技ルールは同じですが、きこえない選手のための視覚による「情報保障」がなされた環境があるのが、デフリンピックの特徴です。
視覚による「情報保障」とは、音や審判の合図がきこえないという、競技上、選手にとって不利な状況を、視覚的に補うことです。
例えば陸上や水泳では、フラッシュランプを使って選手にスタートを知らせます。また、バスケットボールやサッカー、ラグビーでは、笛の音やブザーが鳴った際に、スタッフが旗や片手をあげ、選手やベンチにいる監督等に知らせます。
■デフリンピックについて知ろう(2)
○出場する条件は?
補聴器等を外した状態で、きこえる一番小さな音が55デシベル(普通の声での会話がきこえない程度)以上であり、各国の「ろう者スポーツ協会」に登録されている選手で、記録・出場条件を満たしている選手が参加できます。
○どんな競技がある?
東京2025デフリンピックでは、バスケットボールやサッカー、陸上、水泳、バレーボール等、21競技が行われます。また、冬季大会ではアルペンスキーやカーリング等の7競技が行われます。
○なぜきこえない選手だけで大会を行うの?
聴覚障がいがあることで、バランス感覚の異常、得られる情報量の少なさ等から、練習や競技上できこえる人と比べて不利な面があります。
競技上における「目に見えないハンデ」に対する視覚的な情報保障や手話言語によるコミュニケーションが必要だからこそ、きこえない選手同士で競技をすることに意義があります。ちなみに、パラリンピックにはきこえない人の競技種目はありません。
■日本初開催のデフリンピック(11/15~11/26)を観戦しよう!
◆会場で観戦
※事前申し込み等の必要はなく、誰でも無料で観戦できます。
○バスケットボール
越前さんが出場します!
会場:大田区総合体育館(東京都大田区東蒲田1丁目11-1)
初戦:11月16日(日)13:30~ ウクライナ戦
※この他の日程は下記(※本紙二次元コード参照)をご覧ください。
○その他の競技会場
東京都を中心に行われます。なお、サッカーはJヴィレッジ(広野町・楢葉町)で開催されます。
◆YouTubeで観戦
「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025 公式YouTubeチャンネル」にて、各競技の模様をライブ配信で観ることができます。会場と同じく、無料です。
