- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県双葉町
- 広報紙名 : 広報ふたば 2025年2月 災害版 No.165
長崎大学では、健康福祉課内にスタッフが駐在し、放射線被ばくと健康についての相談窓口を担当しています。『広報ふたば』を通じ、放射線と健康に関する情報を発信しています。
■放射性物質の身近な疑問…放射線被ばくによって、次世代への影響はあるのか?
私たち長崎大学が2023年に双葉町で実施したアンケートで、「双葉町で生活することで、生まれてくる子や孫に被ばくによる健康影響があると思いますか。」という質問に対し、ご回答いただいた方のうち約60%の方が「思う」や「どちらかといえば思う」と回答されていました。この声を受け、今回は次世代への影響についてお伝えいたします。
広島や長崎の原爆被爆者が被爆後に妊娠し、生まれてきた世代は「被爆二世」とよばれています。それぞれの被爆地で被爆二世の方々に健康影響があるかどうかについて、現在に至るまで長期にわたる調査が行われてきました。
この調査では、重い出生時障害、遺伝子の突然変異や染色体異常、がん発生率、がんやその他の疾患による死亡率等について調べられていますが、どれも被爆しなかった性別・年齢・居住地等が似た属性を持つ人たち(比較対象として)との差は認められていません(原爆被爆二世の健康影響調査結果 令和4年度版上巻109ページ)。また、1986年に起きたチョルノービリ※原発事故から40年近くが経過しますが、現時点で事故後に生まれた世代に健康影響は認められていません。
したがって、福島原発事故後に一般の方が受けた線量は、広島・長崎やチョルノービリ※と比べてもかなり低いことから、次世代への影響は考えにくいと思われます。
今後も、放射線や健康影響に関する疑問や不安がありましたら、長崎大学・双葉町復興推進拠点のスタッフまで、お気軽にお問い合わせください。
※ウクライナ語に沿った日本語表記にしています。
参考:その他の被爆二世疫学調査
・がんの罹患率(1958年-1997年)
40,487名の追跡調査の結果、575件の固形腫瘍、68件の血液腫瘍が発症していましたが、親の線量との関連はありませんでした。(調査継続中)
(出典 S.Izumietal.:BrJCancer89:1709-13,2003.)
・がんによる死亡
1946年-2009年の観察期間で、75,327名の追跡調査の結果、1,246件のがんによる死亡が発生していましたが、親の線量との関連はありませんでした。
(出典 E.Grantetal.:LancetOncol16:1316-23,2015.)
問合せ:健康福祉課 健康づくり係
【電話】0240-33-0131