文化 町の昔話コーナー

■フクロウの話 その1
昔々、地蔵森にはたくさんの鳥たちが住んでいたったと。
みんな、朝になると歌を歌いながら餌を集め、夕方になるとねぐらに戻って仲良く寝るという平和な生活だったと。
ところがフクロウだけは、やみぞう※1で、昼間は寝ていて働かねぇ。夜になると大きな袋をかついで手当たりしだい盗んで、盗んだものが無くなるまで、喰っちゃ寝、喰っちゃ寝、してるんだと。そして餌が無くなるとまた盗みに行くんだと。 鳥たちはせっせと集めた餌が朝になると減っているもんだから、ごしゃいだ※2と。
「せっかく集めてきた餌を夜のうちに盗まっちゃ」
「おらん家でもだ」
「夜に出歩くのはフクロウだから盗んだのはあの野郎だべ。」
「フクロウが盗んで行ったんだべ。とんでもない野郎だ。盗みをやめるようにお地蔵様に説教してもらうべ。」
と相談がまとまって、みんなでお地蔵様のところに頼みに行ったと。
「わかった。俺も前々から気ぃついていた。ここさフクロウを呼ばってこい。俺が話をして聞かせっから。」
ということでフクロウはお地蔵様の前に呼ばらっちゃど。
「フクロウ。お前はなして人の餌を盗むんだ?」
「…腹…減って」
「なんぼ腹減っても人のものを盗むのは良くねぇ。いいか、これからは自分の餌は自分で見つけてこい。人のものを盗んではなんねぇぞ。」
ときつく言い聞かせたと。フクロウも渋々うなづいたと。
小鳥たちはこれで安心して眠ることができると安心して家に帰って行ったと。

お地蔵様に願い出て、森のみんなは一安心したようです。果たしてフクロウは本当に反省したのでしょうか。次号に続きます。

※1 やみぞう やみぞ。面倒くさがり。なまけもの。勤勉でないこと。
※2 ごしゃいだ ごしゃぐ。怒る。

新地語ってみっ会では、語り部による民話コーナーや紙芝居などを毎月第3土曜日13時30分から二羽渡神社南、おがわ観海堂(小野俊雄宅離れ)にて参加費無料で公開しています。
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