- 発行日 :
- 自治体名 : 茨城県笠間市
- 広報紙名 : 広報かさま 令和7年7月号
■記憶をつなぐヒト 南秀利(みなみひでとし)さん
元笠間市文化財保護審議会会長などを努め、現在は笠間市史研究員として、市の歴史にかかわる研究や継承に取り組まれています。
戦後80年の節目を迎え、戦争の悲惨さや平和の尊さ、命の大切さを子どもたちに学んでもらおうと、「終戦80年戦争と平和の語り部講話」を6月6日、友部第二小学校で開催しました。
「筑波海軍航空隊」の語り部として、南さんが平和の尊さを語った内容をお届けします。
▽大切なものは命
皆さんが生きるうえで、一番大切なものは何だと思いますか。
それは命です。その大切な命を奪う戦争を、絶対にしてはいけません。
昭和9年に霞ヶ浦航空隊友部分遺隊が旧友部町に開設されてから終戦となる昭和20年まで、たった11年の歴史のなかで、悲しいできごとがたくさんありました。
太平洋戦争では、勉学やスポーツに長けた優秀な人たちが神風特別攻撃隊(特攻隊)に招集され、73名が戦死しました。特攻隊のなかには、将来を約束した婚約者がいる方もいました。特攻隊に招集がかかったことで両親の納得が得られないなかでも、二人が強く結婚を望み説得。出撃前に了承を得られましたが、残念ながら2人が生前に夫婦になることはできませんでした。遺影とともに結婚式が行われ、婚約者が遺影を抱えて撮影された集合写真が今も残っています。
出撃された方はもちろん、送り出した家族や友人も、苦しく、悲しい思いをしました。
▽平和と命の大切さをつなぐ
世界では、各地で戦争がまだ続いています。戦争は損しか残りません。
特攻隊は、人権のない、命を投げ出す作戦でした。筑波海軍航空隊は、特攻隊の始まりといわれています。その特攻隊や戦争の貴重な記録や史跡が残っているのが「筑波海軍航空隊記念館」です。戦争の歴史を知る人が少なくなるなか、記録を目にして、知って、ぜひ広めてください。
私も歴史を話し続けていくことで、平和や命の大切さを後世につないでいきたいと思います。
▽子どもたちの感想
「歴史から今の生活との違いを感じました。家族や友だちとの今の生活が幸せだと思えた」
「戦闘機をかっこいいと思っていたけど、その戦闘機が人を傷つける使い方をされたと考えると悲しい」
「授業でも学んでいたけど、もっと詳しく知ることができました」
問合せ:
生涯学習課【電話】内線381
社会福祉課【電話】内線157
■展示で学ぶ
市民の方などが大切に継承されてきた資料などをもとにした資料展・企画展を行っています。ぜひ足をお運びください。
▽資料展/戦後80年~つなぐ想い~
8月9日(土)に行う戦没者追悼式にあわせ、戦時中の史料などを展示します。市民の方からお預かりした戦争に関連する写真・手紙・日記・軍服や兵士の装備品などの史料や遺品を、エピソードとともに展示します。
会期:8月5日(火)~15日(金)午前9時~午後5時(最終入場…午後4時)
会場:笠間公民館1階展示室(笠間市石井2068-1)
問合せ:社会福祉課
【電話】内線157
▽筑波海軍航空隊記念館企画展/筑波海軍航空隊戦闘機隊蒼空へゆき去りし群像
書籍『筑波海軍航空隊戦闘機隊蒼空へゆき去りし群像』の発刊を記念して、筑波海軍航空隊の“戦闘機隊”および使用された戦闘機に注目した展示を行います。
会期:8月31日(日)まで午前9時~午後5時(最終入場午後4時)
※毎週火曜日は休館
場所:筑波海軍航空隊記念館新展示館1階企画展示室(笠間市旭町654)
問合せ:筑波海軍航空隊記念館
【電話】0296-73-5777