健康 がん検診のススメ ~予防と検診で未来を守りましょう~

さくらがわ地域医療センター病院長/外科 佐々木 欣郎(ささき きんろう)医師
日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医、日本消化管学会指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本腹部救急医学会教育医、日本消化管学会代議員、日本消化器癌発生学会評議員、ほか

■日本人の2人に1人が「がん」に
現在、日本では毎年およそ100万人が「がん」と診断されています(男性約57万人、女性約43万人)。男性に多いのは前立腺・大腸・肺・胃がん、女性では乳・大腸・肺・胃がんの順です。生涯でがんにかかる確率は、男性65%・女性51%。つまり2人に1人が「がん」になる時代です。
継続的に治療を受けている方は全国で約366万人、年間で約39万人が亡くなっており、がんは死因の第1位です。死亡率は男性24.7%(4人に1人)、女性17.2%(6人に1人)となっています。死亡数が多いがんは、男性が肺・大腸・胃・膵臓がん、女性は大腸・肺・膵臓・乳がんの順です。
身近な疾患となったがんに対し、「予防」と「早期発見」がとても重要となります。

■がんを防ぐために
がんの発生には生活習慣や感染が深く関係しています。がんの原因は、男性で43.4%、女性で25.3%が生活習慣や感染によるものとされ、日常生活が予防に直結します。以下は、今日からできる予防のポイントです。
(1)喫煙
タバコは肺がんだけでなく、食道・胃・大腸・膵臓・乳がんなどのリスクも高めます。禁煙は予防の第一歩です。
(2)飲酒
「酒は百薬の長」と言われますが、健康によいとされる量はごくわずか。習慣的な飲酒は、食道・大腸・乳・前立腺がんのリスクを高めます。飲みすぎに注意しましょう。
(3)食生活
「塩分のとりすぎ」「野菜や果物不足」「熱すぎる飲食物」はリスクを高めるとされています。塩分を控え、野菜や果物を意識し、熱い飲み物・食べ物は冷ましてから口にしましょう。
(4)感染
菌やウイルスへの感染もがんの原因になると言われています(ピロリ菌:胃がん、HPV:子宮頸がん、B・C型肝炎ウイルス:肝臓がん)。予防・治療・ワクチン接種ががん対策につながります。

■がん検診で早期発見を
生活習慣に注意していても、すべてのがんを防ぐことはできません。そこで大切なのが定期的ながん検診です。
「年だから検診はもういい」と思いがちですが、がんは60歳以降で急増し、75歳では50歳の約10倍に。年齢を重ねるほど検診の重要性は増します。また、進行がんは治療が難しく、医療費も高額になりがちです。しかし、早期発見・適切な治療で、80%以上が治癒するとされています。
住民検診や人間ドックを活用し、家族とともに健康チェックを習慣にしましょう。

■市民の皆さまへ
国の「第4期がん対策推進基本計画」では、検診受診率60%が目標とされています。早期発見・治療は命を守るだけでなく、医療費の抑制にもつながりますが、市町村間で受診率に差があるのが現状です。桜川市が、がん検診のモデル地域となるよう、さくらがわ地域医療センターの健診センターを中心に、地域一体で皆さまの健康を支えてまいります。「健康」は平穏な暮らしの土台です。ぜひ定期的ながん検診を受け、健康づくりにお役立てください。