- 発行日 :
- 自治体名 : 茨城県行方市
- 広報紙名 : 市報なめがた No.243(令和7年11月号)
■風土記の郷「なめがた」8
~麻生里(あそうのさと)と献上馬(けんじょうば)~
常陸国風土記に「麻生里は昔、湿地帯で水際には、竹のように太く、長さ一丈(約3m)余りある麻が里を取り囲むように生えていた。里の高台には椎(しい)、栗、槻(けやき)、檪(くぬぎ)が繁(しげ)り、猪(いのしし)や猿が住んでいた。そこには筋肉の逞(たくま)しい野馬もいた。天武天皇の御世に同じ郡の大生里(おおうのさと)の建部袁許呂(たけるべのおころ)がこの馬を朝廷に献上して以来【行方の馬】と呼ばれた(一部省略)。」と記されています。これが、麻生の地名となった由縁です。特に興味深いのは、朝廷へ献上するほどの優良馬の産地であったことです。麻生地区には、於下(おした)の城口(じょうぐち)遺跡(5世紀頃)から馬具が出土しています。また、八王子神社の流鏑馬(やぶさめ)、競馬(江戸期)や麻生祇園(ぎおん)馬出し祭などの神事が伝えられており、馬の名産地の名残(なごり)をとどめています。
※常陸国風土記(2005講談社学術文庫秋本吉徳著)、茨城県考古学協会誌第33号(2021茨城県考古学協会)、鹿行の文化財第53号(2023鹿行地方文化研究会)を参考にしています。
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