くらし 【特集1】戦後80年 栃木市の非核平和事業

栃木市では、栃木市非核平和都市宣言の趣旨を踏まえ、戦争の悲惨さや核兵器のおそろしさを伝えるとともに、命の尊さや平和について考える機会を設けるため、今年も各種啓発事業を実施しました。

■戦争体験を聞く会
戦争体験を風化させることなく、後世に伝えていくため、8月16日(土)に「戦争体験を聞く会」を開催しました。戦争体験の語り部である山口(やまぐち)スミさんと小倉久吾(おぐらきゅうご)さんに、宇都宮空襲での体験や戦時中の生活、学童集団疎開について語っていただきました。

●寄せられた声
「空襲がもたらした悲劇を詳しく知ることができた」
「栃木市に学童疎開に来ていたことを初めて知った」
「貴重な実話に胸が熱くなった」
「戦中・戦後の貴重な資料をたくさん見ることができ勉強になった」
「平和の尊さを再認識した。この貴重な話は伝えていかないといけないと改めて思った」

■とちぎ非核平和展=ヒカリから光へ=2025(賢二版画絵巻プロジェクトとの共催事業)
8月14日(木)から17日(日)までの期間、とちぎ岩下の新生姜ホール(栃木文化会館)展示室において、丸木美術館所蔵の「原爆の図」の複製画や、市ゆかりの彫刻家で版画家の鈴木賢二氏の「平和を世界に」等を展示しました。16日(土)、17日(日)には小ホールにおいて、市民の方が企画し、制作した朗読劇「泰山木の木の下で」を上演しました。

●寄せられた声
「心に響いた。来てよかった」
「改めて戦争の恐ろしさを知るよい機会だった」
「若い人たちに平和の大切さを伝えることを続けていってほしい」

■とちぎ平和展
8月4日(月)から15日(金)までの期間、本庁舎4階において、第二次世界大戦末期に使用した飛行服等の現物資料や広島・長崎への原子爆弾投下後の惨状を収めた写真パネルなどを展示しました。
また、市内6図書館でも、8月1日(金)から31日(日)までの期間に原爆写真パネルやポスターの展示とともに、非核平和関連書籍のコーナーを設けました。

●寄せられた声
「戦争は絶対におこしてはならない」
「覚えておくべき歴史だと思う」
「戦争に関する展示等はこれからも続けてほしい」

■広島平和記念式典への中学生派遣
「広島平和記念式典中学生派遣団」として市内中学校から2年生2人ずつ、計26人を広島へ派遣しました。派遣された中学生は原子爆弾の恐ろしさを現地で感じ、戦争の悲惨さや平和の尊さについて学びました。
8月5日:千羽鶴の奉納・平和記念資料館の見学
8月6日:平和記念式典参列、宮島見学、元安川灯ろう流し参加
8月7日:平和学習の集い参加(被爆体験講話、グループディスカッション)

■戦後80年中学生広島派遣報告・昭和館次世代の語り部講話会
8月23日(土)、派遣団員が今回の派遣で学んだことや感じたことを市民の皆さんの前で発表しました。派遣団員は今後各学校の学校祭などで発表し、戦争の悲惨さ、平和の尊さを多くの方々に伝えていきます。また、昭和館から次世代の語り部の星野達哉(ほしのたつや)さんをお迎えし、「残された家族~家族を戦争で失くした人たちの思い~」と題し、講話をいただきました。

●派遣団員の活動報告からの抜粋
◯平和記念資料館
当時13歳だった折免滋(おりめんしげる)さんは、8月6日に爆心地から600mで被爆し、骨になった姿で真っ黒なお弁当箱を抱えているところをお母さんに発見されました。滋さんのお母さんは、滋さんの遺体の下からどんな思いでこのお弁当箱を取り出したことでしょう。私は、この真っ黒なお弁当箱を見て『核を絶対に使ってはいけない』『人類と核は共存できない』と思いました。このお弁当箱を寄贈した滋さんのお母さんは、このお弁当箱を見るたびにとても辛い思いをしたと思います。それでも、『原爆の悲惨さ』『命の大切さ』を伝えるために寄贈してくれたお母さんの気持ちを、私たちは心に刻まなければいけないと思いました。

◯平和記念式典
こども代表の平和の誓いの中で「私たちが、被爆者の方々の思いを語り継ぎ、一人一人の声を紡ぎながら、平和を創り上げていきます。」という言葉が特に心に残っています。今回の派遣でヒロシマの歴史や原爆の大きな被害と恐ろしさ、また今も核兵器の脅威にさらされ続けていることなどを学びました。今、きれいな服を着ておいしいご飯が食べられていること、たくさんのことを学ぶ機会があること、笑って当たり前の日常を過ごすことができていることの幸せやありがたさを実感することができました。分かったことや学んだことを少しでも多くの人に伝えて、平和を創り上げていけるよう頑張ろうと思いました。

◯元安川灯ろう流し
灯ろうには亡くなった方々を悼み慰霊する気持ちを込めました。今の広島からは80年前の悲惨な光景は想像がつきませんが、原爆ドームだけは当時のままで、かつてここで多くの方々が被爆し、今も苦しみ続けている人がいることを思うと胸が締め付けられました。私が実際に広島に行き、戦争、核兵器への意識が変わったように、一人でも多くの方が戦争や核兵器の恐ろしさを嘆く原爆ドームに足を運び意識が変わることを願っています。これ以上辛い思いをする方がいませんようにと祈りを捧げると同時に、もう二度と同じ過ちは繰り返しませんという強い意志を込めて灯ろうを流しました。

◯平和学習の集い
平和学習の集いに参加し、大切なことを二つ学びました。一つ目は、核兵器の本当の怖さです。被爆体験講話を通じて被爆者の方々の言葉では表せないほどの痛みや苦しみを目と耳で感じ、核兵器は一瞬で多くの命を奪うだけでなく、その後の人生にも深い傷を残すということを、改めて深く心に刻みました。二つ目は、核兵器廃絶に向けて、自分に何ができるか考えて行動していかねばならないということです。今回の平和学習の集いで学んだことを胸に、身近な人へ平和の大切さを伝えることや、世界で起きている出来事に関心を持つことといった、自分にできる小さな一歩を見つけて行動していきたいと思います。

問合せ:総務人事課
【電話】21-2342