- 発行日 :
- 自治体名 : 群馬県桐生市
- 広報紙名 : 広報きりゅう 令和7年11月号
◆税金に頼らない「球都桐生プロジェクト」
球都桐生プロジェクトは、令和7年度で4年目を迎えました。
本事業の最大の特徴は、税金に頼らずに運営している点です。財源は全て、プロジェクトに対する企業や個人からのふるさと納税型寄付によるものです。これまでに累計3億9千万円以上の寄付が集まり、市内外の多くの協力により実現しました。
なかでも、新桐生駅の球場化装飾は、ふるさと納税による財源に加え、趣旨に賛同した東武鉄道株式会社の協力と、市内外30社の企業広告による協賛で整備しました。民の力で駅の玄関口が生まれ変わり、地域の象徴となったことは、公民連携のたまものです。
また、JR桐生駅改札口前には、人気漫画「ダイヤのA(エース)」の主人公・沢村栄純のモニュメントを設置しました。桐生が講談社創業者・野間清治ゆかりの地であることから実現したもので、全国的な話題を呼び、交流人口拡大への寄与が期待されます。
◆背景と意義―なぜ「野球」から始めるのか
桐生市は、全国に4都市しかない「球都」を掲げるまちのひとつです。野球は桐生の歴史と文化に深く根差し、市民にとって身近でありながら、全国的にも発信力を持つ資源です。桐生が全国に誇れる「野球力」に軸足を置き、次の4つの基本方針の下、各事業を展開しています。
(1)桐生の活性化
地域を盛り上げ、にぎわいを創出します。
毎年夏に開催する「球都桐生ウィーク」では、毎年多くの人々が参加し、まち全体が活気づきます。駅中イベントや本町フードスタジアムなど、多彩な催しが地域の交流を生み出し、全国からも注目を集めています。
(2)桐生の価値向上と魅力発信
地域資源の価値を高め、桐生の魅力を市内外に伝えます。
これまでに開催した栗山英樹氏や川淵三郎氏らによる講演やシンポジウム、上原浩治氏のYouTube(ユーチューブ)公開収録などは、「スポーツを通じて地域を活性化させる」桐生の挑戦を全国へ発信するものです。
(3)健康な青少年の育成(教育的価値の創造)
子どもたちが健やかに成長できる環境を整備します。
東京六大学野球との連携により、オールスター戦や各大学による市内での野球教室を開催し、子どもたちがトップレベルの野球に触れる機会が生まれました。スポーツを通じて礼節や人間力を育む場としても定着しつつあります。
また、日本スポーツマンシップ協会代表・中村聡宏氏をスポーツマンシップ大使に任命し、思いやりと挑戦を大切にする地域教育の輪が広がっています。
(4)スポーツの活性化
あらゆる競技が発展できる環境を整え、地域全体のスポーツ振興につなげます。
最新デジタル設備を備えた「球都桐生野球ラボ」は、他競技イベントなどでも活用されており、スポーツの裾野を広げる共通インフラとして機能しています。
◆全国から注目される仕組み
このプロジェクトは、全国的にも数少ない新しい形の公民連携事業です。
市民・団体・行政が参画する「球都桐生プロジェクト推進協議会」を中心に、企画から資金調達、実施までを協働で進めています。
税金に頼らず外部資金を呼び込み、市民の誇りと地域活性につなげる仕組みは“球都桐生モデル”と呼ぶにふさわしいものです。小さなまちから始まった取り組みが全国に発信されていること自体が、地域力の証明とも言えます。
◆主な歩みと成果
令和4年度
・「球都桐生の日」制定
・推進協議会設立
・ふるさと納税開始
令和5年度
・「球都桐生ウィーク」初開催
・東京六大学野球オールスター戦
・栗山英樹氏来桐
・斎藤佑樹氏スペシャルアドバイザー就任
令和6年度
・球都桐生野球ラボ開設
・新桐生駅球場化装飾
・川淵三郎氏・本橋麻里氏来桐
・スポーツマンシップ大使に中村聡宏氏を任命
・早稲田大学野球教室
令和7年度
・球都桐生歴史館常設化
・上原浩治氏YouTube公開収録
・慶応大学野球教室
・JR桐生駅モニュメント設置
・本町フードスタジアム・仲町スナックスタジアム
・世界のホームラン王・王貞治氏が球都桐生を視察
◆未来に向けて
このプロジェクトは、あらゆるスポーツを通じて地域を元気にすることを目的とした取り組みです。
王貞治氏が桐生を視察した際には、「桐生が日本の野球を支えてくれると思うほど、組織的にしっかりしていた」と語り、その様子は全国ニュースでも報じられました。
今後は、野球にとどまらず、ほかの競技との連携も視野に入れながら、スポーツの価値を活用した桐生ならではの挑戦を進化させ、まちの活性化を目指していきます。
問い合わせ:スポーツ・文化振興課球都桐生プロジェクト推進担当
【電話】32-3896
