くらし ~300年前と変わらぬ味~旨みがギュッと凝縮された『さきたまめ』

一年のうち20日間しか収穫できず︑収穫量も限られていることから幻の枝豆とも言われる行田在来枝豆『さきたまめ』を紹介します。

■20日間しか収穫できないワケ
枝豆は本来大豆になっていく過程で少しずつ固くなり、色も黄色くなってしまいますが、『さきたまめ』は最も香りや硬さが良いとされている20日間に収穫されたものだけが出荷されます。
『さきたまめ』は品種改良が行われていないため、作付け時期をずらしても、収穫時期が長くなることはありません。そのため、収穫は9月下旬から10月中旬ごろまでに限られ、今年は約6トンの出荷を予定しています。

■行田在来枝豆の歴史
行田在来枝豆が成長したものである行田在来青大豆は江戸時代から栽培されており、享保2(1717)年には栽培されていたとの記録が残っています。
稲作が中心であった当時の農業の一つの問題は、もろくて崩れやすく、貯めた水が抜けやすかった田んぼのあぜ。当時はあぜ際に泥を塗り固めて堤防にし、そこに豆の種をまきました。豆の木が育つと、それが目隠しになって田んぼの稲が動物に狙われにくい、虫が豆の方に付くので稲への害が減るなど諸説ありますが。いずれも昔の人の知恵で作られていました。

■『さきたまめ』としての復活
行田在来青大豆は古くから自家消費用の「あぜ豆」として栽培されていたため、収益を目的としたものではありませんでした。そのため、稲作の機械化や、収穫量が多く作りやすい品種の台頭などにより、昭和50年ごろに姿を消しました。
しかし、「埼玉で食べられてきた在来大豆を絶やしてはならない」と、埼玉県や農業関係機関が協力し、栽培を復活させる取り組みを開始しました。平成19年ごろにその取り組みに賛同した生産者たちが集まり、再び行田在来青大豆の栽培に力を入れ始めました。こうした中、行田在来青大豆の未熟な状態である枝豆を食したところ、そのおいしさに気付き、行田在来枝豆の商品化が進められました。
そして、平成25(2013)年に枝豆として差別化を図ることや、生産と販路の拡大を目的として「行田豆吉クラブ」が結成され市場への出荷が開始されました。令和5(2023)年には、この行田在来枝豆のブランド化を図るため、『さきたまめ』と命名し、パッケージなどを一新しました。

■在来種ならではの濃い香りと味
『さきたまめ』は、皆さんが普段よく食べる枝豆とは一味違い、茹でた瞬間に香りが辺りに広がり、口に入れれば、枝豆本来の濃い味を楽しむことができます。

◇大豆と枝豆の関係
・行田在来枝豆
↓ 実は同じもの さらに成長
・行田在来青大豆
枝豆は未成熟な大豆を収穫したものです。枝豆は日本独特の野菜で、大豆同様にたんぱく質、カルシウム、ビタミン、食物繊維などの栄養分が含まれています。

◇成長過程
種まきをしてから約1週間程度で芽が出ます

8月中旬に花が咲き始めます

植えてから約90日ほどで枝豆になります

■収穫から出荷まで
◇収穫
収穫は夜明け前に行われます。
午前2時~4時ごろから収穫が始まります。気温が高くなり始める頃に収穫すると美味しさが凝縮されると言われています。

◇脱莢(だっきょう)・洗浄
収穫された『さきたまめ』は市内の作業場に運ばれ、機械で茎からサヤを外す脱莢という作業を行います。この脱莢の作業が一番時間が掛かり、半日を要します。その後、脱莢された枝豆を洗浄します。

◇選別
色彩選別機を用いて選別した後、さらに人の手によって綺麗なサヤを選別していきます。その後封詰めを行います。この作業が終わる頃には午後4時ごろになっています。
一日で約500キログラムを出荷します。

◇出荷
選び抜かれた貴重な枝豆は『さきたまめ』として、午後5時以降に市場や市内の販売店に出荷されます。そして、早い店舗では当日中に店頭に並びます。

『さきたまめ』を栽培している様子を市公式YouTubeチャンネル「ぎょうだ動画チャンネル」で公開しています。

■生産者インタビュー
◇行田豆吉クラブ
行田在来枝豆『さきたまめ』の普及活動をしている地元生産者団体
行田豆吉クラブではInstagramを開設しています。
生育状況や販売情報、出荷情報などを配信しています。
※二次元コードは本紙をご覧ください。

◇もっと魅力を広めていきたい!
行田豆吉クラブ会長 小松裕幸さん(荒木)
さきたまめは20日間しか収穫できないこともあり、販路は一部の店舗に限られています。しかし、より多くの人に豊かな香りとコク、そして風味の高い絶品のさきたまめを味わってもらえるよう日々愛情込めて育て、出荷をしています。
「行田といえば『さきたまめ』」と言ってもらえるよう、まずは市内の方、そして県内、全国へとさきたまめの名を広げていきたいです。
また、現在会員は7人しかおらず、収穫できるさきたまめの量には限りがあります。一緒にさきたまめを作る仲間を募集していますので、興味のある方はぜひ行田豆吉クラブ事務局(農政課)にご連絡ください。

■さきたまめ 3つの特徴
1 口いっぱいに広がる濃いコク
2 他の在来種に比べてタンパク質が豊富で脂質が控えめ、ショ糖の含有量が多い
3 茹でた瞬間に芳醇な香りが広がる

■加工食品
「埼玉県新商品AWARD2023」で金賞を受賞したさきたまめ入りの「行田の餃子」を始め、行田在来青大豆を使用した「行田納豆」、「みそ」などの商品があります。

■主な販売店舗
・埼玉県のイオンスーパー
・古代蓮の里 売店
・観光物産館ぶらっと♪行田
・観光物産館さきたまテラス
・カインズ行田店
・行田農産物直売所
・行田はちまんマルシェ
・市内の一部のコンビニエンスストア

・ネット販売(販売先はホームページをご確認ください。)
※二次元コードは本紙をご覧ください。

問い合わせ:農政課(行田豆吉クラブ事務局)
【電話】580-3013