- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県鴻巣市
- 広報紙名 : 広報こうのす「かがやき」 令和7年9月号
並木市長が訪問した企業や事業所、市民活動団体を紹介します。
■今回紹介するのは
株式会社 田嶋製菓
所在地:鴻巣市北根1639
埼玉県北部に伝わる郷土料理で、農林水産省の郷土料理百選である「いがまんじゅう」。中のまんじゅうが栗、それを包む赤飯が栗のいがに見えることが名前の由来と言われています。
今回は、川里地域が発祥とも言われる「いがまんじゅう」が人気の『株式会社 田嶋製菓』を訪問し、3代目の田嶋隆幸さんと母の宏子さんにお話を伺いました。
▽継承される〝ふるさとの味〟
「初めて食べる人は、皆さん驚きます。赤飯おにぎりと思って一口ほおばると、中にあんこたっぷりのまんじゅうが入っているのですから」と微笑む宏子さん。
「田嶋製菓」を創業したのは、隆幸さんの祖父。戦争から帰ってすぐにパンの卸売りを始め、のちに和菓子の販売を始めたと言います。いがまんじゅうの成り立ちを隆幸さんに聞くと「昔は、この辺の農家では田植えの後や稲刈り後の収穫を祝い、各家庭で赤飯とまんじゅうを手作りして、重箱にぎっしり詰めて食べる習慣があったことからできたのではないかと言われていますが、文献等がなく、正確なことは分かっていません。祖父は、お客様から頼まれていがまんじゅうをつくることがあったようです。二代目の私の父が当店の今の形状を考案し、食べやすいようにラップで包んで店頭に並べるようになりました」とのこと。
昔ながらの家庭の„ふるさとの味〝がお店で継承されています。
▽手作業で素早く丁寧に包む
いがまんじゅう作りは、早朝5時からはじまります。二人の熟練の職人さんが、まんじゅうを蒸したての赤飯で手際よく包み、形を整え、次々と並べます。一個の成形にかかる時間は、わずか三秒ほど。赤飯は、冷めると固くなってしまうので、蒸したてでないと包めません。繁忙期には、一日に二千個つくる日もあると言います。
▽変えない基本の作り方
「あんこの煮方や砂糖の配合など、作り方の基本は、祖父の代から変えずに守り続けています。いがまんじゅうには、東北や新潟県産のさっぱり、ふんわりとした口当たりの良いもち米を使用しており、添加物不使用なので、お子さんからご年配の方まで安心してお召し上がりいただけます」と隆幸さんと宏子さん。創業当時から、あえて変えない作り方や配合が、初めて食べてもなぜか懐かしい„ふるさとの味〝を感じる理由かもしれません。
▽懇談を終えて
「流行りの“映え”を狙える食べ物ではないので、奇をてらったことはせず、地道に、誠実に作り続けます」という隆幸さんの言葉が印象的でした。
郷土料理『いがまんじゅう』には、時代が変わっても、変わらない素朴なおいしさがありました。
問合せ:秘書課
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