文化 青淵遺薫(せいえんいくん) 栄一のちょっと小話(こばなし)

■『論語と算盤(そろばん)』=(イコール)渋沢栄一
渋沢栄一記念館では、渋沢栄一アンドロイドが『道徳経済合一説(どうとくけいざいごういっせつ)』の講義をする姿を見学できます。
『道徳経済合一説』は、『論語』を人生の指針としていた栄一が説いたものです。それを分かりやすく『論語と算盤』と表現し、道徳心と経済活動は表裏(ひょうり)一体であり、公共の利益(公益(こうえき))のため、みんなが豊かになるために行動することが大切であると考え、自らも行動していました。
そして、1916(大正5)年には渋沢栄一述(じゅつ)『論語と算盤』が出版されます。講演会の講話や雑誌掲載文などの著述(ちょじゅつ)を編纂(へんさん)した訓話集で、『論語と算盤』の説明に始まり、人生の教訓が記されています。例えば、得意な時と失意の時については、古人の言葉を示し、得意な時こそ気配りし心を引き締めて行動するがよい、とアドバイスしています。また、何かひとつ仕事をしたいと心に思う若者には、『自ら箸を取れ』と鼓舞し、小さな米粒も自ら拾い上げるように行動すれば次第に仕事を任されるだろう、と教えています。
『論語と算盤』は、栄一の代名詞として知られ、大実業家の哲学書としてビジネスマンに人気です。近年はチーム経営を学ぶためにスポーツにも活用されており、大リーガーの大谷翔平(おおたにしょうへい)選手が、北海道日本ハムファイターズ時代に栗山英樹(くりやまひでき)監督から薦められた『論語と算盤』を愛読書としていたことから、この本は、現代の高校野球選手たちにも親しまれています。
『論語と算盤』で、あなたも心に響く名言を見つけることができるかもしれません。