しごと 特集―農業の魅力と未来を考える(1)

■農業を未来につなぐ
越谷市は、豊かな自然や農業と都市近郊の便利な暮らしが共存するまちです。
地域の暮らしを支え、地域の魅力をかたちづくる農業の未来を若手農業者の皆さんと考えます。

▼若手農業者にインタビュー
○大熊良幸(おおくまよしゆき)さん(42歳)
・代々続く農家を継ぎました、課題は担い手不足
曽祖父から続く農家で生まれ育ちました。家業を継ぐことを意識したのは、中学生のときですかね。農業に関する専門知識や技術を学べる高校に進学したんです。農家の跡継ぎとして期待されているプレッシャーは感じていました(笑)。小松菜と米の栽培をしていますが、自分で考えて工夫しながら、より良いものを作ることに魅力を感じます。
地域の農業の課題は、担い手不足なんです。どこも後継者問題を抱えていて…、子どもたちには、農家の跡継ぎというプレッシャーを与えたくはないんですよ。
現在は、若手農業者で構成する「越谷市グリーンクラブ」の会長として、田んぼアート事業への参加のほか、「越谷市民まつり」や、「こしがや産業フェスタ」に出展するなど、農業を通じた地域交流・地域振興に取り組んでいます。

○新坂光太(にいざかこうた)さん(28歳) 村山遥斗(むらやまはると)さん(22歳)
・ゼロからのスタートで、地域の農業を盛り上げたい
農業とは全く縁がありませんでしたが、妻がたまたま農家の娘だったことが就農のきっかけです。(新坂さん)
農業に興味があり、農業高校、農業大学校を卒業し、研修でお世話になったニイザカファームに就職しました。(村山さん)
コシヒカリをはじめ、7種類のうるち米と太郎兵衛もちなどのもち米を生産しています。トラクターなどの農業機械を自分で整備して操作するのは楽しいですよ。田んぼの管理や病害虫の防除は、衛星画像とAIを組み合わせたパソコンソフトやドローンなどを活用しています。
食を支えることで誰かのためになっているという、やりがいを感じますね。地区センター・公民館での米作り教室や、市内中学校の生徒を対象にした稲刈り体験など、地域の皆さんが農業に触れる機会も提供しています。

○深井慶(ふかいけい)さん(38歳)
・農業という仕事の質を向上させたい
もともとは住宅の基礎を作る仕事をしていました。この畑で採れた、ほうれん草のおいしさに感動したことが農業を始めた動機の1つです。ねぎや小松菜などを栽培していて、日々食べるものを作ることに魅力と誇りを感じています。農業の醍醐味(だいごみ)は、自分自身で納得できるまで没頭できることだと思います。
これからの農業には、経営の視点が必要になるので、雇用する従業員とのコミュニケーションを図り、朝礼や作業後の打ち合わせの時間を大切にしているんです。意外かもしれませんが、週ごとに計画を立て、一人一人が自分で考えて作業できるよう心がけています。効率や効果も考えて仕事の質を向上させていきたいと考えています。
地域の皆さんには、地場の新鮮なおいしい野菜を食べてもらいたいですね。

▼越谷いちごと越谷スカイメロン
いちごの食べ比べができる首都圏最大級の観光農園「越谷いちごタウン」では、人気のあまりんをはじめ、紅ほっぺや、かおり野など、いろいろな品種が楽しめます。令和5年には「越谷いちごみらい園」がオープンし、現在、市内では8カ所の農園でいちご狩りが楽しめます。
越谷スカイメロンは、いちごに続く新たな農産物の生産を支援するため、平成30年より試験栽培を始めました。水耕栽培で育ったメロンは、さわやかな甘さが特徴で、農業技術センターと出羽地区の農園で栽培しています。
若い担い手や新規の農業参入に向けた取り組みとして注目を集めています。

○いちごの生産者さんに伺いました
越谷いちごタウン 前田寿樹(まえだとしき)さん(45歳)
市のいちご生産者育成事業の1期生で、越谷いちごタウンの開園から、日々おいしいいちご作りに取り組んでいます。
4、5種類の品種を味わえるのが魅力で、ハウス内はバリアフリー化していますので、車いすやベビーカーでも楽しめます。