文化 今月の河鍋暁斎記念美術館

天才絵師の作品蕨にあり ─No.110─

■暁斎筆「蛙と兎の駕籠道中」 紙本墨摺に手彩色 団扇絵校合摺
この作品は、団扇絵(うちわえ)版画の試し摺(ずり)にあたる校合摺(きょうごうずり)に、暁斎が手で彩色(さいしき)したもので、高山寺(こうざんじ)所蔵の「鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)」にも描かれている蛙(かえる)と兎(うさぎ)がモチーフになっています。
本図の蛙と兎は、柿の実をくりぬいた駕籠(かご)を担いでいます。駕籠に乗っている客も蛙ですが、駕籠の脇に蒲(がま)の穂(ほ)の毛槍(けやり)を持った御供(おとも)を連れているので、どうやら身分が高い蛙のようです。前で担いでいる蛙は余りの重さに顎(あご)を上げていますが、客の蛙はそんなことはお構いなしにどっしり座り、ずいぶん太々(ふてぶて)しい様子です。
※本作品は現在の展覧会で御覧いただけます

河鍋 暁斎(かわなべ きょうさい) 天保2年(1831)~明治22年(1889)
現在の茨城県古河市に生まれる。浮世絵や狩野派を学び、江戸・東京の庶民から人気を博す。明治9年、万国博覧会に肉筆画を出品。14年、内国勧業博覧会で日本画の最高賞受賞。娘の暁翠も日本画家。

■河鍋暁斎記念美術館開催中
企画展「暁斎・暁翠いきもの大集合」展
同時開催特別展「第39回かえる」展

開館:午前10時~午後4時
ところ:南町4-36-4
休館:火・木曜日、26日~末日
入館料:一般600円、高校生・大学生500円、小・中学生300円、65歳以上500円
※65歳以上の人は年齢の分かる物、学生は学生証をご提示ください。

展覧会の詳しい内容は美術館のホームページを御覧ください

詳細:同館
【電話】441・9780