くらし 輝いてます ひと

県展彫刻部門 高校生奨励賞受賞 新城 美月(しんじょう みづき)さん

■少女が見上げる先へ
今にも動き出しそうな生命感のある少女の彫刻の隣ではにかむのは新城美月さん(17歳・塚越5丁目)。埼玉県美術展覧会の彫刻部門で高校生奨励賞を受賞しました。絵を描くことが好きで、小学生から絵画教室に通い、交通安全ポスター展等で入賞してきました。本格的に美術を学ぶため、大宮光陵高校の美術科へ進学。授業で制作した立体作品の構図や空間の使い方を褒められたことをきっかけに、彫刻を専攻することに。基礎を学びつつ、写実的な作品を目指して技術を磨きます。
県展に向けて、新城さんはフィギュアスケーターのような滑らかでうねりのある作品を作ろうと、試行錯誤を重ねていました。ところが、締め切りまでひと月を切ったある日、作品の体勢に土台が耐え切れず、作品が崩落。当初よりも動きを抑えた姿勢で作り直すことに。焦りと自身の技術不足に対する悔しさを感じながらも、出品期限ギリギリまで人体の動きを忠実に描写することに情熱を注いだ結果、今の自分のベストが出せたと言い切れる作品となりました。
空を見上げる少女の彫刻。作品のタイトルは「眩(くら)む」です。目の周りはあえて形作らず、まるで強い光が当たって細部が見えなくなっているかのように表現。目指す作品に必要な高度な技術や、それができる人たちのまぶしさに目がくらんでいる自分を重ねました。しかし、それでも前に突き進むんだ、という野心が前のめりな体勢にこもっています。県展の審査員からは「人体の動きが感じられ、真摯な制作姿勢が伝わってくる」と評され、今回の受賞となりました。
「毎回、前回よりもはるかによい作品を作ろうと頑張っています」と語る新城さん。その情熱を胸に、まっすぐに明るい未来への歩みを進めます。