くらし 〈特集1〉地域への想いをお酒に込めて(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県志木市
- 広報紙名 : 広報しき 令和7年7月号
皆さんは、現在市内に3つの志木産オリジナル日本酒があることをご存じですか。
令和7年3月、新たに大坂屋本店が開発・販売を手がけた志木産の日本酒「志木織々(しきおりおり)」をはじめとする志木市ならではの日本酒について、開発のきっかけとなった出来事や店主の想い・こだわりをお届けします!
■「志木織々」ができるまで
[水の汲(く)み上げ]
日本酒の仕込み水として中宗岡にある深井戸から水を1トン汲み上げます。
採水にあたっては、純粋な志木の原水のみを使用するため、浄水場の水と混合しないようバルブを閉めるなどの工夫を凝らします。
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[精米・洗米・浸漬(しんせき)など]
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[蒸米(じょうまい)]
洗米などを経たお米を約1時間かけて熱い蒸気で蒸すことで、酒造りに適した水分量に調整します。
蒸米はその後の麹(こうじ)造り、酒母やもろみの仕込みとさまざまな工程で使用するため、その日の気温・湿度を考慮しながら蒸気の温度や圧力を調整し、理想の蒸米に仕上げます。
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[製麹(ぎく)]
製麹は日本酒造りにとって風味や香りを左右する非常に重要な工程で、蒸米に麹菌を振りかけて繁殖させることで発酵に必要な糖分や酵素を生成し、麹を作ります。
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[酒母・三段仕込み]
仕込み水・蒸米・麹・酵母などを大きなタンクに入れて日本酒をアルコール発酵させ、もろみを作ります。味を深めるため、3回に分けて蒸米などを入れ、段階に応じてよくかき混ぜるなどゆっくりと発酵させます。
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[上槽]
20日間かけて発酵を終えたもろみを圧搾機で絞ることで板状のような酒粕と生酒が出来上がります。
その後、火入れが不要な無濾過生原酒(搾りたてのもの)や生酒(無濾過生原酒に水を加えて濾過したもの)は冷蔵庫保存します。
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[濾過・火入れなど]
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[貯蔵・調合]
火入れした日本酒はタンクで貯蔵します。完成した「志木織々」はボトリングされ、3月に行われた志木さくらフェスタで初お披露目となりました。
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[完成]
■「志木織々」誕生の経緯~志木らしさを求めて~
そもそも志木織々はどのような経緯で商品開発に至ったのでしょうか。
大坂屋本店(本町1-6-57)の5代目社長、飯田彰太(いいだしょうた)さんに話を伺いました。
大坂屋本店が創業150周年を迎えるにあたり「長年にわたって支えてくれた地元の皆さんに何か恩返しができないか」を第一に考え、一年を通して楽しめる志木ならではのお酒を作りたいと思ったのがきっかけです。
大坂屋本店は特にワインのラインナップが豊富であるため、当初はワインの製造を計画していました。しかし、志木のことを調べていく中で納得のいくワインができる材料がなく悩んでいたところ、飯能市に酒蔵を構える「五十嵐酒造」が作った日本酒と出会い、飲んだ瞬間に「これだ!」と感じました。
早速、五十嵐酒造の五十嵐正則(いがらしまさのり)代表取締役社長にアポイントを取り、今回の趣旨や思いを伝えたところ「そこまで酒作りに熱意を持ってくれるならぜひ挑戦してみましょう!」との賛同をいただき、今回のお酒造りが動き出しました。
志木らしさを追求し、仕込み水にはミネラルバランスが良くまろやかさが特徴の志木の深井戸水を使用したほか、お米は志木産コシヒカリを使用しました。
また、商品のラベルは市内在住のデザイナー俵周作(たわらしゅうさく)さんに依頼し、志木を表す3本の川が織りあって未来へと流れる様子が表現されています。
志木への想いが折り重なって紡がれる志木織々が、この先も地域のにぎわいづくりへ寄与することを願っています。
■「志木織々」の魅力~ボトリングのタイミングの違いで3つの味わいを楽しむ~
○純米酒 無濾過生原酒(720ミリリットル・1.8ℓ)
もろみを搾り、そのままボトリングしたもので、深井戸水のまろやかさと原酒ならではの力強さが特徴。
○純米酒 生酒(720ミリリットル・1.8ℓ)
無濾過生原酒に水を加えたもので、飲みやすく白ワインのようなフルーティーさが特徴。
○純米酒(720ミリリットル・1.8ℓ)
生酒に火入れをしたもので、若干のアルコール感と飲み飽きしないすっきりとした味わいが特徴。
※志木織々は市内では大坂屋本店でのみ販売しており、状況によっては完売となる場合があります。
お買い求めの際は大坂屋本店[【電話】048-471-0130]へ事前に確認することをおすすめします。
□生産者と直接交流できるイベントを開催
大坂屋本店の飯田さんの親戚にあたる飯田昌利(いいだまさとし)さんが店主を務める飯田酒店(柏町4-6-26)では、お客さんのお酒のある楽しい生活を支援する「酒ライフサポート事業」に力を入れており、お客さんの好みや飲むシーンなどさまざまな話を伺ったうえでその人に合ったお酒を紹介する取り組みを行っています。
また、お客さんが直接お酒の生産者と交流できる場を作りたいという思いから独自でイベントなども開催しています。詳しくは、本紙3面QRコードの飯田酒店公式Instagramをご覧ください!