文化 文化財めぐり vol.05

■戸宮八幡(はちまん)神社
◆歴史と伝統が息づく、鎮守の社
戸宮村の鎮守(ちんじゅ)として開村と同時に勧かんじょう請(神様をお迎えすること)された戸宮八幡神社は、市指定文化財「戸宮の獅子舞(ししまい)」でも知られる由緒ある神社です。
詳しい創建時期は不明ですが、戦国大名後北条氏の家臣団の所領を示した古文書に「入西郡富屋(にっさいぐんとみや)」の文字が確認できることから、少なくとも戦国時代以前まで遡(さかのぼ)るとみられます。神社に祀(まつ)られている八幡神が武芸の神であることから、鎌倉時代頃にこの地を所領としていた勝(すぐろ)氏、広谷(ひろや)氏などの武蔵武士が深く関わっていたのではないかと考えられます。

◇歴史の痕跡が多く残る八幡神社
創建以降、村の鎮守として長年戸宮の地を見守ってきた八幡神社には、この地の歩んできた歴史の痕跡が多く残されています。例えば、八幡神社のある大字戸宮は、陸軍坂戸飛行場(現在の千代田・鶴ヶ島市富士見・川越市竹野一帯)の建設に伴い、鶴ヶ島村を離れ、勝呂村に編入された歴史があります。境内にある石灯籠をみると「鶴ヶ島村大字戸宮」の文字が刻まれており、そこがかつて鶴ヶ島村の一部であったことを静かに物語っています。また、戸宮地区ではうどんの大盛りを食べる際に「戸宮の八幡様のような大森(おおもり)だ」と形容したとの言い伝えが残っています。
境内を見回すと巨大な古木の切り株が点在しており、神社の森が伝承のように壮大であった様子をうかがい知ることができます。
神社は、人々の信仰のよりどころであるだけでなく、地域の歴史を伝え続ける存在でもあります。
所在地:戸宮60

問合せ:歴史民俗資料館
【電話】049-284-1052