くらし 市長コラム

■「希望」(力強さより穏やかさ 未見の夢と希望を)
地元出身の芸術家(二紀展などで数々の受賞)の先生が、70代の若さで、去る4月に逝去されました。先生は幼少から美術に関心・造詣が深く、何気ない日常の一端を、人物をテーマに制作を続けてこられました。僭越(せんえつ)ですが、先生の芸術を通じて自然を観る、景色や風景を観察する手法に共感し感動もし、羨望すら禁じえません。
先生は、前半は絵画中心に、後半は彫塑(ちょうそ)中心に打ち込まれたと思っています。と申しますのは、先生は常々「絵は平面、彫塑は立体で造形を楽しむ満足」の事を話されていました。幸手中学校創立50周年記念事業として先生が、幸手中学校の校門正面に創作された「希望」の像が凛として佇立(ちょりつ)しています。(少女と鳩が優しい眼差しで生徒を見守り続けています。)
私の好きな作家の文章に、「人のいのちは何よりも尊い。なぜなら、かけがいがないからだ。だが、人は死ぬ。いつかは必ず死ぬ。永遠の生命はない。永遠に続くのはこの社会、この文化(芸術)だけである。限りある命を使うのは、この社会の維持向上において他にない。…人にはいのちより大切なものがある。」
この文章を、芸術にいのちを捧げ燃焼させた先生に贈り、心から哀悼の辞といたします。合掌
追記:読売新聞「友達の輪」No.50は先生の寄稿文