- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県君津市
- 広報紙名 : 広報きみつ 令和7年1月号
■ここがすごい!
君津が生んだ唯一無二の文化資産 松本ピアノはどんなピアノ?
○ベビーグランドピアノ
1937年(昭和12年)頃、新治が製作。コンサートグランドピアノより小さく、家庭用に製作されました。
(1)ピアノ業界のパイオニア
1903年、第5回内国勧業博覧会でベビピアノが最高位を受賞。それまでは、山葉(現・ヤマハ)と西川がピアノ製作を先行していましたが、これを機に、松本ピアノの名は広く知られ、山葉、西川と並ぶ日本3大ピアノメーカーに数えられるまでになりました。
(2)奏でられる優美な音色
ピアノの心臓部といわれる響板。西洋では唐檜を使用していますが、松本ピアノは国産のエゾマツを使いました。さらに、音を発する弦線、打撃するハンマーにも完璧を求めた結果、奏でられる優美な音色は、スウィート・トーンと称されるようになりました。
(3)製作にかけるこだわり
ピアノを単なる工業製品ではなく、音色を宿す芸術品と考えていた新吉は、作業効率よりも音色を重視したピアノ製作を行いました。従業員に製作技術のすべてを教え、職人の手作業でピアノを製作することに生涯こだわり続けました。
このピアノづくりは、息子新治、孫新一まで3代にわたり受け継がれ、松本ピアノの特徴の一つとなりました。
■本文中で紹介した歴代の松本ピアノ
▼ピアノ(1)
三島小学校に納入されたアップライトピアノ。ピアノ内面木部から、新治氏自筆の鉛筆書きが発見されました。
製造年:1928年(昭和3年)頃
製造場所:八重原工場
制作者:松本新治
▼ピアノ(2)
2代目新治の急逝の後、当時の職工が製作したアップライトピアノ。戦後の不況の中、和子夫人と職工たちはピアノづくりを再開し、八重原工場を復活させました。
製造年:1958年(昭和33年)頃
製造場所:八重原工場
■松本ピアノが設置されている市内の施設一覧
※見学を希望する場合は、事前に各施設にお問い合わせください
■松本ピアノレクチャーandコンサート
松本ピアノ・オルガン保存会や修復に参加した方をゲストに迎え、さらなる松本ピアノの魅力に迫ります。
日時:2月15日(土)午後2時開演(1時開場)
会場:周南中学校・体育館
定員:100人程度
内容:パネル展示、松本ピアノの魅力や修復時の舞台裏、中学生が修復したピアノを使ったミニコンサート
演奏:石橋里奈氏(松本ピアノ・オルガン保存会会員)
申込方法:申込フォーム、または電話でお申し込みください。
申込期限:1月31日(金)
問合せ:政策推進課
【電話】56-1568
■松本ピアノ3代目 松本 新一さん
農家に生まれた新吉が、明治時代にピアノに着目し、自ら作り始めたことは先見の明があったのでしょう。二代目新治が40歳で急逝しても母と職工は松本ピアノの音に誇りを持ち、私も使命感を持ち工場を続けました。新吉から新治、そして私まで三代続いたピアノ工場は残念ながらもうありません。しかし、修復した12台のピアノは明治、大正、昭和と三世代揃って君津市に残っています。今もピアノに触れ、音を奏でることができます。ピアノは飾り物ではありません。音を鳴らしてこそピアノです。たくさんの方に弾いていただき、スウィート・トーンを末永く堪能していただきたいと切に願います。
■松本ピアノ・オルガン保存会会長 篠宮 則子 さん
私たちは、ピアノ修復の協力に始まり、全国の松本ピアノの情報を集め、パネル展示や書籍、ホームページなどで紹介してきました。スウィート・トーンの音色を楽しむコンサートも年3回開催しています。100年経っても色あせない松本ピアノの魅力を、ぜひ一人でも多くの方に知っていただきたいと思っています。
■届けスウィート・トーン 松本ピアノの音色を世界へ!
松本ピアノ・オルガン保存会で一緒に活動しませんか
保存会では、松本ピアノの魅力を広めるため、賛助会員を募集しています。いただいた賛助金は、コンサートの開催やピアノの保存活動に充てられています。詳しくは、保存会ホームページをご確認ください。