- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県印西市
- 広報紙名 : 広報いんざい 令和7年7月1日号
■つるべと井戸 ~大変だった水汲み~
「つるべ」とは縄などの先に付けて井戸から水を汲むための桶のことをいいます(写真参照)。水の入手方法の多くを井戸に頼っていた時代では、俳句などにも用いられるほど「つるべ」は身近な存在でした。
日本では、井戸掘りが一般的になったのは江戸時代の中ごろとされています。新しい井戸掘りの技術により、簡単に井戸が掘れるようになったためです。この掘り技術により、時代劇で見られるような共同で使用する井戸が一般的になりました。
「朝顔や(に)つるべ取られてもらい水」 加賀千代女(かがのちよじょ)
加賀千代女は、日本で井戸掘りが一般的になったころに活躍した俳人です。前掲の句については「に」から「や」に推敲したとの説があります。この句は、井戸に水を汲みに行くと「つるべの縄」に朝顔の蔓(つる)が巻き付いていたので、もらい水をしに行くという句です。
加賀千代女がこの句を詠んだころには、朝顔のためにもらい水ができるほど井戸が普及していたことが伺えます。
また、明治時代になると、さらに深い井戸を掘る技術が発達しました。もともと、「つるべ」を使った水汲みは重労働だったこともあり「つるべ」は少しずつ姿を消していきました。代わりに普及したのが井戸に取り付ける手押しポンプです。
これから朝顔の季節となり、水の使用量も多くなりそうです。水汲みが大変だったころを思い、水を大切にしましょう。
※写真は本紙をご覧ください