- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県印西市
- 広報紙名 : 広報いんざい 令和7年9月1日号
■万石(まんごく)とおし
今年も新米の時期になりました。最近は、米との関わり方を考えさせられることが多いですが、稲刈りをしてから白い米になるまでに乾燥、脱穀、もみすりなど、いくつもの工程や道具が必要です。今回は昔の米作りで使われていた道具の一つ、「万石とおし」を紹介します。
万石とおしの万石という言葉には、万石ほどの大量の米を選別できるという意味が込められており、江戸時代に発明された米を選別する道具です。使い方は、もみすりで得られた玄米ともみが混在したものを上部の注ぎ口に入れると、玄米ともみの混合物が金網の上を流れていきます。金網の上を流れていく間に、もみ殻は金網の下に落ち、玄米は金網の上を最後まで滑り落ちていき、もみ殻と玄米が分離することになります。玄米がもみ殻よりも重くて滑りやすいという特性を利用した選別方法です。また、くず米や割れ米の選別にも万石とおしが利用されたそうです。
万石とおしは非常に便利だったため各地に普及し、明治時代以降も使用されました。また、昭和の初めごろになると、動力もみすり機と組み合わせて使用されるようになり、もみすりや選別はより効率的になりました。現代では、もみすりから選別までを一貫して行うもみすり機が普及し「万石とおし」の機能が組み込まれているものもあるそうです。
印旛歴史民俗資料館では、紹介した万石とおしのほかに、米作りに使われた昔の道具を展示しています。先人たちが使った道具から「米」を見てみると、米の見方が変わるかもしれません。