- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県大多喜町
- 広報紙名 : 広報おおたき 2025年9月号(NO.684)
令和7年8月25日[第14号]
大多喜町役場農林課農政係
大多喜ラボ 渡邊 未来
■野生動物との『共存』とは
いろいろな視点から考えるべき問題
いつもこのコラムを読んでいただきありがとうございます。おかげさまで『これを読んで草刈りや放置果樹の整備をした』、『これを見て柵の補助金を申請した』という声も届いております。こちらこそ、ご家庭や地区での獣害対策を進めていただき大変感謝しております。
今回はあらためて、獣害対策とは何かについて考えてみたいと思います。獣害とは、人の生活と野生動物の生活の摩擦から生まれる被害のことです。アニメ・もののけ姫のテーマのひとつ、野生動物と人間それぞれの生活が関わる問題でもあります。そしてその解決方法は、お互いの生活範囲を尊重して距離を置く[棲み分け]であり、これが本当の意味での[共存]になります。
■自然豊かな大多喜町
安全な里山生活を、これからも
アメリカ、ニューハンプシャー州のグラフトンという町には野生のクマが生息していました。クマ好きな人は違法な餌付けをし、クマ嫌いな人は違法な狩猟を続けました。結果、クマは人が与えるエサに依存しつつ人を恐れ、庭や家に侵入してエサを漁りながら人間を襲う最悪の事態になったそうです。森の生態系の収容力を超えて餌付けをし、頭数も人的被害も増えて捕獲せざるを得なくなる、人にも動物にも不幸な結果です。
幸い千葉県にクマはいませんが、これはイノシシやサルなど野生動物すべてに起こりうることです。
家や農地で残り野菜や放置果樹などエサになるものを食べさせず、見かけしだい追い払い、ここにはエサはないこと、ここは人間のエリアであることを示します。自然環境に無理のない生息数を目指し、データに基づいて計画的に捕獲します。そのことが、野生動物の動物らしい生き方を守り、交通事故に巻き込まれる動物も減らし、里山で暮らす私たちの生活を守ることにもつながります。大多喜町での生活が、いまもこれからも安心できるものであるために、獣害対策は必要です。
一人ひとりの少しずつの対策と、行政による対策が組み合わさることで、何十倍もの大きな相乗効果を生み出します。あらためて、獣害対策に取り組んでくださる住民の皆様に感謝申し上げます。
■最新獣害ニュースandポイント
イノシシが増えています
今年春~7月中旬現在、多くの地域の山際でイノシシの目撃や掘り返しが増え、刈入れ直前に食害される可能性が高まっています。田んぼに下見に来ている痕跡がないか、破られている柵はないか、電柵は高い電圧を保っているか再確認しましょう。今までイノシシがいなかった地域もできるだけ電柵を張ったほうが安心です。暑い中なのでご無理はなさらず、体調には十分お気をつけください。
■町の捕獲状況
猟友会によるキョンパトロール(銃捕獲)も進んでいますが、住宅街のキョンには手が出せません。引続き追払いをよろしくお願いします。
文責:鳥獣被害対策実施隊西畑地区担当 渡邊未来
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