くらし [特集]知っていますか?防災拠点(1)

区内の全世帯のうち、およそ94%がマンションなどの共同住宅に居住しています。こうした建物の多くは耐震性に優れ、倒壊による被害は少ないと想定されています。このため、発災後も安全が確保できる場合には、住み慣れた自宅で生活を続ける「在宅避難」を推奨しています。
一方、区では上記の(1)〜(4)の機能を有する「防災拠点」を区内に24カ所設け、災害時の区民の生活を支えることとしています。
今号では、防災拠点の持つ役割と各拠点での活動について、地域防災を担う防災拠点運営委員会の方のインタビューを交えて紹介します。

■やくわり1 避難所として
・自宅での生活が困難になった場合の一時的な避難所としての機能
・飲料水・食料・生活必需品に加え、避難所運営に必要な防災資器材を備蓄

■やくわり2 地域活動拠点として
・初期消火や救出・救助に必要な防災資器材を備蓄
・救援物資の受け入れ・配布拠点としての機能
・地域の安否情報を収集する拠点としての機能

■やくわり3 医療救護所として
・災害の規模や被災状況に応じて軽症者の応急手当を行う医療救護所としての機能
・救護活動に必要な医薬品などを備蓄

■やくわり4 情報拠点として
・災害時でも使用可能な特設公衆電話やWi-Fi環境を整備
・地域の被害状況やライフラインなどの状況、救援物資などに関する情報を提供

「なるほど!いろいろな役割があるんだね!」
「本紙2・3面で活動について紹介しているぞ!」

「地域の方が互いに協力し合うことで防災拠点の運営が成り立っています。」
■防災拠点運営委員会インタビュー
京橋築地小学校 森田さん
~“東日本大震災で防災意識が変わった”緊張感ある訓練を心掛けています~
私は生まれも育ちも築地。町会で約40年間活動し、副会長の役職を約15年間務めております。平成11年頃、区内の各地域に防災拠点運営委員会を整備する計画があると聞き、当時の町会長に依頼される形で防災拠点運営委員会(京橋築地小学校)の立ち上げに携わりました。約1年間議論を重ね、防災拠点運営委員会としての活動が2年目の平成13年度から正式に始まりました。
設立以来、毎年5回の会議と1回の訓練を継続しています。転機となったのは2011年に発生した東日本大震災です。あくまで訓練は訓練で、「実際の災害時には積み上げてきたことが必ずしも役に立つとは限らない」ことを痛感しました。以降、これを教訓に従来の訓練内容の改革をしてきました。例えば、昨年の防災拠点訓練で実施した「リアル避難所運営アトラクション(ブラインド)訓練」は、委員に当日はじめて訓練内容を明かす訓練方法です。少人数のグループごとに課題を与え「誰が何を担当するか?」「どうやって課題をクリアするか?」などを話し合いながら行動してもらいました。少人数のグループ化により自主性が向上したし、手応えを感じましたね。あと参加者自ら動くことも大切です。
現状の拠点運営における課題は、委員のなり手(人材)不足です。この点は町会組織も同様です。それと訓練の参加者が固定しがちなことと、高齢の方々が多いことも。若い人たちにもどんどん訓練に参加してほしいですね。訓練の際に一番必要なのは、災害時さながらの“緊張感”だと思います。「天災は忘れた頃にやってくる」の言葉どおり、まずは皆さんに防災拠点の存在を知ってもらい、特に若い方々に積極的に訓練に参加していただきたい。築地に暮らす者同士お互いに協力し合い、災害を乗り切っていくために必要とされる、そんな拠点でありたいと考えています。

○我がまちの防災アイデア
「ブラインド訓練」が自主性を引き出す
携帯トイレの使い方を話し合う委員と参加者たち。少人数のグループごとに避難所運営に関するミッションを行いました。

■防災拠点運営委員会インタビュー
有馬小学校 増田さん
~「楽しい訓練」を実現できるよう行政や小学校と連携を図っています~
私にとってこのまちは昭和初期、祖父の代から3代続く地元。PTAや防犯協会の役職の他、町会長としてさまざまな取り組みに携わってきました。防災拠点運営委員会もその中の大事な活動の一つです。
有馬小学校の拠点では毎年一度、秋(10〜11月頃)に防災訓練を行います。内容は2種類。起震車や消火活動、防災資器材の操作、炊き出しの試食などを一般の参加者の方々に体験していただく「巡回訓練」。そして、委員が災害時の実践的・専門的な行動スキルを習得することを目指す「避難所開設・運営訓練」です。東日本大震災は平日の昼間に発災しましたが、休日や夜間なら状況は異なっていたでしょう。委員が自主的に拠点を運営できるようさまざまな状況に応じたマニュアルを構築し、本番を想定したシミュレーションを重ねる必要があると考えています。
年3回の運営委員会の中では、訓練の内容や日時を議論しますが、心掛けているのは「どうしたら多くの人に参加してもらえるか?」という点です。町会を通じた啓発活動や、小学校との連携など、子どもや親御さんの参加意識を高める努力を続けています。当日、会場に白バイやミニカーを手配するなどイベント感を演出することもあります。マンションが増えて若い方々が多くなりました。「いかに地域のつながりをつくるか?」が今後の課題ですね。
マンションの耐震性は高いですが、一方で備蓄はどうするか。トイレや電気はどう確保するか。皆さんにはぜひ訓練に参加していただき、防災意識の向上に役立ててほしいですね。

○我がまちの防災アイデア
大人も子どもも一緒に楽しめる訓練を
車いすを押して段差を乗り越える訓練。「多くの参加者に来ていただくための工夫を欠かしません」と増田さん。

問合せ:防災危機管理課防災危機管理担当
【電話】3546-5510