- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都台東区
- 広報紙名 : 広報たいとう 令和7年9月5日号
江戸の町人で本名を岩瀬醒(いわせさむる)といいます。浮世絵を北尾重政(きたおしげまさ)から学び、北尾政演(きたおまさのぶ)の名で浮世絵師として活躍しました。また、山東京伝(さんとうきょうでん)の名で『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』などの黄表紙(きびょうし)や、洒落本(しゃれぼん)についても多くの作品を発表し、作家としても成功しましたが、寛政3年(1791)に発表した洒落本三作が寛政の改革の出版統制に触れ、版元の蔦重とともに処罰を受けました。浅草寺の裏手には京伝愛用の机を埋めたという「山東京伝机塚(つくえづか)の碑」があります。
■『江戸生艶気樺焼』
山東京伝(北尾政演)作・画 天明5年(1785) 蔦屋重三郎出版
金持ちの一人息子・艶二郎(えんじろう)は、女性にもてて浮名を流したいと、お金を払ってさまざまな手を使いますが、どれも上手くいきません。最後は盗賊に扮(ふん)した父親に懲(こ)らしめられ、ようやく改心したのでした。タイトルは江戸前鰻(うなぎ)の蒲焼きをもじっています。京伝は艶二郎のうぬぼれ強いふるまいと、周囲のしらけた反応を対照的に文と絵で表現しつつ、艶二郎をチャーミングな顔立ちに描くことで、どこか憎めない主人公のお話にしています。艶二郎の特徴的な鼻は「京伝鼻」と呼ばれるようになりました。
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