その他 知ってる?保護司〜再出発をまちで支える〜(1)

保護司は、犯罪や非行をした人(対象者)の立ち直りを地域で支えるボランティアです。国から任命され、保護観察官などと協力しながら、再出発のサポートや犯罪を防止するための啓発活動などを行っています。
今号では、区内で活動する保護司会の方に話を聞きました。

■数字で見る中野区の保護司
◇全国の保護司の人数
46,043人
☆令和7年1月1日現在

◇中野区の保護司の人数
85人
充足率は78.7%
中野区の保護司数は近年低迷しています

◇中野区保護司会平均年齢、男女の割合

全国の保護司は男性約73%、女性約27%で中野区は女性の保護司が多いのが特徴です
☆中野区のデータは令和7年4月1日現在

■活動内容
◆保護観察(見守り)
犯罪・非行をした人と定期的に面談し、生活や心の支えになるよう、助言や指導を行います。

◆生活環境の調整(サポート)
釈放され、立ち直りを目指す人などがスムーズに社会復帰を果たせるよう、住まいや仕事などの調整を行います。

◆広報啓発
保護司の役割や更生支援の大切さを地域の人に知ってもらうために、学校などでイベントを行い、犯罪や非行のない明るい社会づくりを目指します。

◆活動のイメージ
▽面談(月1〜2回程度)
区の施設や保護司の自宅などで対象者と面談します(30分〜1時間程度)。

▽報告(月1回)
面談の内容を報告書にまとめて、保護観察所に提出します。状況を正確に伝えることで、支援の内容や計画の見直しに役立ちます。
☆手書きも可

▽定期会合(月1〜2回)
情報交換や保護観察所からの連絡事項を共有します。定期的な研修もあるので、法律や支援の知識を深めることができます。

■特別じゃない、でも大切な役割
活動歴23年
中野区保護司会 会長
濱本 義典(はまもと よしのり)さん
会社役員を務めながら地域活動に積極的に関わり、2002年から保護司に。現在も町会長などさまざまな地域貢献を続けている

◇人と向き合う重み
約23年前、地域の活動を通じて声を掛けられたのがきっかけで保護司になりました。正直、自分にできるのか不安でしたし、保護司がどんなものか、はっきりとは分かっていませんでした。でも、やってみると思っていた以上に奥が深く、人と向き合う重みのある役割だと感じるようになりました。

◇それぞれの背景に寄り添う
保護司というのは、特別な資格が必要なわけでも、目立つ活動でもありません。むしろ、目立たず静かに、でも確実に誰かの人生に関わっていく、そんな役割です。対象者の背景には、家庭環境や経済的な事情、社会とのつながりの希薄さなど、さまざまな課題があります。そうした人たちが、もう一度社会の中で再スタートするためには、誰かがそばにいて、見守り、支えていくことが必要なのです。

◇世代や経験に関わらず活躍できる
中野区の保護司会は、都内でも比較的女性の比率が高いこともあり、柔らかく開かれた雰囲気であると感じます。かつては「保護司はこうあるべき」といった堅苦しい雰囲気もありましたが、最近は世代や経験に関係なく誰もが意見を言いやすい風通しの良い会へと変わってきています。
町会や地域団体との関わりも以前より活発になり、地域に根ざした活動がしやすくなっているのも特徴の一つです。

■地域の未来を明るくするために
活動歴2年
上田 命(うえだ まこと)さん

◇保護司を目指したきっかけは
普段、会社を経営しながら、小学校のPTAや町会など、さまざまな地域活動を行っています。PTAの活動をしていた時に、先輩の保護司の方から誘われたことが興味を持ったきっかけでした。昔から父に地域貢献の大切さについて教えられており、私自身もその言葉を胸にさまざまな活動を行ってきました。もっと地域の役に立てることがあるのではないかという思いから保護司になることを決めました。家族や地域の方々も保護司の活動を見守ってくれています。

◇実際に活動してみて
担当する対象者は、保護観察官が調整します。基本的には複数人で一人の対象者を担当することが多く、先輩保護司と一緒に、区民活動センターや区役所など区立の施設を借りて、面談を行っています。
対象者と会話している先輩保護司の姿を隣で見ながら、対象者とのコミュニケーションの取り方や保護司としての支え方を日々勉強しています。対象者に寄り添いつつ、時には厳しいこともしっかりと強く伝える先輩保護司の姿は、発見や学びが多く尊敬しています。
面談では、対象者の目線に立ってその人の考え方を整理しながら向き合うことを大切にしています。罪を犯してしまった原因や、更生できるきっかけを、対象者との面談の中でひも解いていけるように努めています。

◇お仕事との両立は大変ですか
面談日は、対象者と予定を合わせながら決めていくので、ある程度融通が利くためうまく両立ができていると思います。保護司会で行っている研修会や定例会は土曜日に行うことが多く、用事があれば休むこともできるので縛られることなく参加できています。
優しい先輩ばかりで、対象者とのコミュニケーションの仕方や経験談を聞くことで刺激を受け、より良い活動につながっていると思います。

◇これからの目標は
対象者のケアに加え、犯罪や非行をなくしていくための広報活動にも力を入れていきたいと考えています。保護司の活動はまだまだ知られておらず、地域の理解や協力を得るためには伝えていくことが大切です。これまでの地域活動を生かし、講演や本の読み聞かせなどを通して、子どもから大人まで、多くの方に「社会を明るくする運動」を広げていきたいです。